( 1/1 ) 俺は最近うずうずしているらしい。土方コノヤロー曰く。
自覚がねーからよくわかんねーけど放課後近くなったら窓の外を眺め、貧乏揺すりをしているという。
どんだけ観察してんだよ、土方コノヤロー。
自分でも自覚がないくらい放課後を楽しみとしている。
キーンコーンカーンコーン
頭に響くチャイムが鳴る。
6時間目の授業が終わり銀八が入ってきて手短のSHRしてはい、さよなら。
ワイワイと部活やら放課後デートやらで帰っていく生徒たちに反する俺。
姫路野の部活が終わるのが7:00らしい。その時間まで俺は教室で寝たりして過ごす。
だが今日はなんでだか素振りをしたかった。あの竹刀の匂い、感触、感覚を蘇らせたかった。
鞄を持ち早足で剣道場に向かう。
――――――――………
「おう総悟!出る気になったのか!?」
現在部長の近藤さんが俺に気づき話し掛ける。その声に反応して土方コノヤローも来る。
「少し竹刀を握ってみたくなりやしてねィ。」
「……ったく。待ち侘びたぞ。」
「しかし何故剣を握りたくなった?今までの総悟だったら握りそうになかったのにな。」
「そうだな。死人の顔してたし。」
たしかに。言われてみればそうだ。
何故今俺は剣を握りたいと思うたか。
何故今俺はこんなにもやる気で満ち溢れてるのか。
「私、早く総悟君の剣道姿みたい。」
「ねぇ、総悟君。今日部活は?」
「諦めちゃダメだよ!剣道続けてね!」
「頑張って総悟君!」
「あ。」
アイツの、アイツのせいだ。 操られる俺 アイツはいつの間にか俺の心の奥を揺すぶり、俺の中の何かを出してくれた。
その何かは今必要なもので今しか出せないもので、今しか出すタイミングがなくて。
それを教えてくれるかのように姫路野は見事に俺を華麗に操った。 もどる
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