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「私は、ここに存在してはいけない人なのです。」


口調はゆったり、しかし言葉は衝撃的過ぎた。


「私は未来から来ました。」


「未、来?」


「はい、そんなに遠くではないですが。


私はその未来で貴方のことを知りました。『剣ピカイチ天才少年』、貴方のことです。


私はそれを見るまで生きる気力を無くしていました。元々科学の方で頭が冴えており、好きでもない科学グループに入れられ毎日いつ役に立つのかもわからない実験ばかりを命じられ。


そんな時に友達が剣道をしていてたまたま大会を見に行った時に貴方、総悟くんがいました。


その時の貴方は渋々試合に出ている感じだったけど、いざ試合をするとさっきまでのけだるさが嘘のようにすばしこい速さで相手に勝って。感動した。人間やる気が大切だ、と思った。」


「その大会って……。」


「総悟くんが20歳の時よ。」


20歳、まだしてんのかィ?


「けどある日貴方の剣道している姿を見れなくなった。友達に聞いたら彼はもうする意味がない、て言っていたらしい。」


「……だねィ。」


「私、もう一度総悟くんの剣道している姿見たかった。総悟くんに剣道を続けてほしかった。


だから私は人類初のタイムスリップを造ったの。」


「タイムスリップ?」


「飲む用だけどね。」


そう言って見せてくれたのは緑色の液体。


「それでもうそろそろ私は帰らなきゃいけない。だから私に関わった人達みんなの記憶を消した、はずなのに。」


「俺は覚えていた。」


「……うん。どこかでミスしたんだろうね。」


「………。」


そこはミスじゃなくて忘れてほしくなかった、がよかった。


「総悟くん、ごめんね。散々振り回して。」


「待てよ凛華!!」


ガッ


腕を掴む。えらい細かった。


「ごめん……。こればかりはどうしようもないの。」


目が本当だ。俺は名残惜しいけど腕を離す。


「私の役目は総悟くんに剣道を続けてもらうようにすること。でも、もうそろそろ限界みたい。」


泣きそうな顔なのに笑顔を浮かべる。


「なあ、凛華。」


「ん?」


「もし俺がこのまま凛華が好きな剣道続けていて、まだ凛華のこと想ってたら、」


額にキスを落とす。


「プロポーズしに、会いに行っていいか?」


凛華は一瞬驚いた顔をした、がすぐに涙がボロボロと零れる。


「う、うん、……うん。約束、だよ……?」


「おぅ、約束だ。」
 
 
 
 
 
 
 
未来の君へ約束
 
 
 
 
 
 
 
その瞬間、凛華は消えた、跡形もなく。

俺は何故かスッキリしていた。剣道を続ける理由ができたので満足していたのかもしれない。

剣道を続ける理由、凛華が喜んでくれる、凛華に勇気を与えられるから。

凛華、未来で待ってろよ。

 
 
 
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