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ずっと無理だ、と諦めていた。


だって彼は人気者だし、そもそも喋ったことのないやつに好意を持たれてもあまり嬉しくないだろう。


だからこの恋は傍観しているだけでいい。


そう思っていたのに、きっかけができた。


そのきっかけは私の恋心を増幅させる最悪な薬だった。


でも、その最悪な薬のおかげで不格好だったけど彼に思いを伝えることができた。


そして、今この状況、


「ぎ、銀、と、き。」


私は今、銀時の胸の中におさめられている。


抱きしめる力が強いため息がしずらい。


だから緩めてもらおうと声をかけるが反応してくれず。


しかし、どうして私は今抱きしめられてるの?


「……凛華。」


ぎゅうっ


「はぅっ。」


もっと締め付けられる。


「く、くるし、」


「俺と同じ苦しみを味わえコノヤロー。」


……どういうこと?


「この前から俺はずっとこの調子だったんだぞ、どうしてくれんだ。」


「ご、ごめん。それを謝りに、」


「謝っても許してやんねー。」


「!」


やっぱりそうだよね、散々ひどいことしたんだもん。そう簡単にはいかないよね。


「俺はモテる。」


「うん。」


「頭もいいし、運動神経もいい。」


「う、うん。」


「更には恋経験も豊富。」


「……うん?」


自分で言うんだ、この人。


「最近、男子は奥手と言われてやがる。」


「?」


「だから告白もここ最近じゃ、女子からだ。」


「言われてみれば……。」


「けどなァ。」


バッ


体が離れる。私と彼の視線が絡み合った。


「俺は自分からしたいの。これプライド。」


「……そ、そう。」


「だから今の取り消し。」


あーあー、取り消しされた。だから上手くいきっこなかったんだ。この恋なんて、


そう思っていた矢先、


「好きだ。」


低音の音が脳に響き渡る。


「………は?


「え!?真面目に告白したのに『は?』はなくね!?」


彼は頬を赤く染めながら下を向いた。


「だ、だって、は?」


「あのなー、なんでか?って聞きてんだろ。」


首を縦に思い切り振る。


「恋に理由なんているかバカヤロー。」


そう言って彼の顔が近づいた。


私はそれに答えるように瞳を閉じる。


「「大好き。」」
 
 
 
 
 
 
 
君との距離、約ゼロセンチ
 
 
 
 
 
 
 
曖昧な出会い、曖昧なすれ違い、曖昧な告白、曖昧なキス。

全て中途半端な始まり方だった私たちの恋が、これから始まる。

始まりは君と距離が縮まったあの日から。

 
 
 
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