( 1/2 ) ドキン ドキン
今日はいつも以上に心臓が跳ねる。口から内臓が飛び出そうだ。
私は今、教室の扉の前に立っている。突っ立っている。
………入れない。
実はこの前、銀時と泣きまくったあの日から目を合わせられていない。
合わせたいけど、何故か気恥ずかしくついつい目を逸らす。
別に軽蔑したとか嫌いになったとかではない。それはない絶対に。
なのに目を合わすことすらできない私はチキン野郎だ。
以上の理由でここ最近は銀時と一切口を聞いていない。
「、ということなのです。」
昼休み、いつも教室で食べる私は唯一の友達を誘い外でランチタイム。
もちろん、このことを聞いてもらうため。
「なんじゃそりゃ。」
おにぎりをガツガツ食べていた友達の手が止まる。口もがら空きで中のものが見えてしまう。
「なんじゃそりゃとは失礼な。」
「だって、それって言い訳じゃん。」
びしっ、ときつい言葉を言われる。それに反撃できないのは図星だからである。
「凛華は坂田くんに頼られたんだよ。コイツなら受け止めてくれる、そう思って安心して心を許したのに当の本人が無視はいかんよ。」
「………無視じゃないよ。」
「坂田くんからしたら無視だよ。」
「うっ。」
「きっと相手から話し掛けられないよ。罪悪感でいっぱいだからね。」
「……私、どうしたらいいのかな。」
ついボソリと弱音が出る。それを友達は拾った。
「自分の気持ちを正直にぶつければいんじゃない?」
「え、」
「ねえ、どうして凛華は気恥ずかしいの?」
「そ、それは、」
「きっとそれは気恥ずかしいじゃなくて『好き』の気持ちを抑えてるんだよ、無意識に。その行動を凛華は気恥ずかしいと捉えた。」
「………私、が。」
「当たって砕けろ、とは言わないよ。」
ニコ、と笑う友達。
「行っておいで。」
「………うんっ!!」
私は食べかけの弁当をそこに投げ、走って行った。
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