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あれから私は幸せな日々を送っている。


とでも思いましたか?


「ぐぅ、ぐぅ。」


「………。」


そんなわけ、ありません!!


あ、今授業中だから大きな声は出しません、というか出せません。


只今世界史の授業中です。世界に興味がない人は当然、授業中発せられる言葉はお経同然でしょう。


私も今眠たいです。だって5時間目だよ?お昼ご飯食べてお腹いっぱいで心地いい陽射し浴びて。最高の昼寝タイム。


「むにゃ……糖、コノロォ。」


隣で可愛い寝顔があるから寝れません。しかも顔がこっち向いてます、心臓やばいです。バクバクです。


は、先生が黒板に何か書いてる。メモしとかないと。


しかし、


「……見えない。」


仕方なく私は鞄から眼鏡ケースを取り出し中のものをかける。一気に視界がクリアになった。


そして私はまたカリカリと書き始める。


「……姫路野さんてさァ、」


びくんっ


隣から声がする。確認しなくても一発でわかる私は変態かな。


「眼鏡。」


「え?」


坂田くんは顔を机につけたまま眼鏡を指差した。


「眼鏡かけんだな。」


「あ、うん。似合わないから普段はかけないんだ。」


少し苦笑い。


「……そーか?」


坂田くんは頬杖をかきながら、


「眼鏡姿も可愛いと思うけど。」


そう言って笑った。


ふいに胸が締め付けられた。ぎゅぅぅっと締め付け私を苦しめる。けど心地いい苦しみで。


私はいつの間にドMに昇格したのかな?


「あ、ありがとう。」


勇気を振り絞りお礼を言う。


「姫路野さん、意外に素直なんだな。」


「え、」


本日2回目の驚き。


「なんかツンデレっぽかったのにな。」


「私、がツンデレ?」


「おう。『別に嬉しくないんだからね!!』とか言ってそー。」


「い、言わないよ!」


「……どーだか。」


「本当だよ言わないもん。」


不思議、私坂田くんと自然に話せてる。


もしかして意識し過ぎてたから話難かったのかな?


「ククッ。姫路野さん面白れェ。」


必死に笑いを堪えている様子。あまりいい気分じゃないかも。


「どこが面白いの?」


プクーッと頬を含らませて問う。


「いやー、全部?」


「ぜぜぜ全部!?」


「だって昨日だってよ、手ェ差し出したら人差し指しか握らなかったし。」


「あ、あれは手汗がやばくて……。」


「そういう発想も面白ェ。」


そう言って彼はまた喉で笑い始めた。


「あー、姫路野さん面白っ。」
 
 
 
 
 
 
 
君との距離、約ヨンセンチ
 
 
 
 
 
 
 
話してみたら意外に自然に楽しく話せたな。

もっとたくさん貴方のことを知りたいと思う私は欲張り?それとも変人?

どちらにしても、距離縮めたい。

 
 
 
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