( 2/4 ) 顔を上げ月を見つめる。月は醜い鬼を持つ私を明るく照らしてくれる。
今宵は満月。
まるでかぐや姫が月へ帰った夜のようだ。
「……もういっそのこと私も連れていってよ。」
そしたら総悟と一緒にいなくてすむし。何よりこの醜い鬼を持たなくてすむ。
否、そんなことはないだろう。
きっと離れたら離れたで悲しいし寂しいし。
「世の中矛盾だらけだァァァ。」
どかっ
後ろに倒れ込む。
「…………。」
「………え。」
後ろに倒れ込んだ私の視界に入ってきたのは、
「いつからいたの、総悟。」
寝癖をつけた総悟だった。
「凛華が縁側に座ったところからでィ。」
「つまり最初からね。」
よいしょ、と私の隣に腰を降ろす総悟。
そんな近くにいたら私、爆発しちゃうよ。
「……で?」
「へ?」
「何か悩みでもあるんかィ。凛華は。」
「な、なんで?」
「なんか深刻そうな顔してたから。」
サァァァ
私と総悟の間を夏風が通り過ぎる。
「悩みなんて、ないよ。」
「……そうかィ。ま、何かあったら俺にいいなせェ。俺は絶対凛華の味方なんで。」 言えないよ。あなたのことで悩んでるなんて、言えない。
でもその言葉、素直に嬉しい。
「うん、ありがとう。その言葉だけで胸がいっぱいだよ。」
「え?」
「へ?何かおかしなこと言った?」
「だって凛華、胸がいっぱいって。そんなペチャパイなのに…。」
「ここここここれは関係ないの!!例え話でしょ!!」
この後、総悟と少し雑談をして眠りについた。 ← もどる →
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