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私と総悟は一心同体。まるで双子だと周囲からは言われている。


さっきみたいにトシ兄をこてんぱにイジめるし(さすがに死んでほしいとは思わない)、町の破壊もお任せ。たくさん壊して始末書はトシ兄へ。


サボりも総悟と同じ。待ち合わせしなくても必ず落ち合うことができちゃう。一緒にサボって一緒に帰るのが当たり前。


そして、


「凛華〜。今日少し話いいですかィ?」


「…うん!いいよ!!」


お互い恥じらわず相談できる相手。上から下まで全部話すことができる。


けど私は総悟にひとつ隠し事をしている。


総悟に抱いた恋心。


これだけは関係がいい状態だろうがなんだろうが本人には相談できない。


本人に相談するとしたら最早告白だ。チキンな私は告白なんてできない。


もやもや考えていると陰で覆われたことに気づく。振り返ってみると、


「凛華〜〜。てめー。」


「あ、トトトトトシ兄!どうしたのかしらららら?」


そこには鬼の副長だからか?鬼の形相をしたトシ兄がいた。


「今日こそ切腹だァァァァァァ!!」


「きゃあああああ!!」
  
  
  
  
 
 
 
 
 
 
 
―――――――その日の晩
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「凛華?」


襖の奥から私を呼ぶ声がする。シルエットなんか見なくても人物が特定できる私は変態だろうか?


「総悟、いいよ。」


「失礼しやす。」


ガラッと襖を開け入る総悟。風呂上がりなのか髪はまだ濡れていて下にぽたぽたと落ちている。


「あーあー。髪まだちゃんと拭けてないじゃん。」


「……拭けやした。」


「拭けてたら水なんて落ちません。タオル貸してここ座って。」


総悟は仕方なく首に掛けてたタオルを渡し、前に座った。わしゃわしゃと総悟の髪を拭く。相変わらずのさらさらで腹が立つ。


「……凛華。」


「ん?」


「女って難しい生き物だねィ。」


総悟の声が少し低くなる。


あいつと何かあったの?」


あいつ。


それは総悟の好きな人。


名前も知らない。というかどこの人なのかさっぱりわからない。総悟はその人のことを必ず『あいつ』と呼ぶ。総悟はあいつを好き、とは言わないが好意を抱いているような言い方はする。


「あいつねィ、今日少し気分が落ち込んでたんでィ。」
 
 
「うん。」


「だから俺がちょっと構ったら凄い笑顔になったんでさァ。」


「…う、ん。」


「女はそんなことで元気になれるんですねィ。」


「な、れるよ。総悟の励ましたい気持ちがあいつに伝わったのよ。」


「……わかんねーなァ。あいつもあいつの心境も。」


総悟は溜息をつき襖の隙間から見える空を見上げた。


「総悟。応援するから、頑張って。」


「…ありがとう。」


総悟はこちらを一回も見ずお礼を言う。


私は頭を拭くのを止め手で顔を覆った。泣くな、笑え。笑い飛ばせ。必死に堪えた。
 
 
 
 
 
 
 
恋心の行方
 
 
 
 
 
 
 
総悟に思われているあいつが羨ましい。

これは世の中で最も醜い嫉妬という奴。

総悟を思う私の恋心は邪魔者。

簡単に消えてなくなる方法とかないのかな?

そうしたらこんなに苦しまなくてすむのに。

 
 
 
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