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とりあえず街をぶらぶら。私達は他愛もない話をしながら歩いていた。


というか一体どこにむかっているの?


「ね、ねぇ、総悟。」


「なんでィ?」


「私達、どこに向かってるの?」


「………。そういえば凛華には言ってやせんね。」


総悟はそう言って遠くにあるデパートを指差した。


「あそこに向かってんでィ。」


「あ、あそこって!最近オープンしたデパートだよね!?」


実は最近新しくできたデパートでなんでも私の好きなブランド店がいるらしい。


「よかったあ!ちょうど行きたかったんだよねー!」


「そうなんかィ。俺ァあそこが一番女物を選びやすいと思ってねィ。」


女物。


この言葉が胸を苦しめる。


そうだよね、今日は私のためじゃなくてあいつのためだもんね。


けど顔に出さないよう頑張る私。このままだったら女優になれるわ。


「ところであいつの誕生日はいつなの?」


「……それがわからないんでさァ。」


「え?」


「今月とは聞いたけどいつかわからなくてねィ。」


「じゃあ誕生日プレゼントはいつ渡すの?」


「……そこら辺は後で考えまさァ。」


「ノープランなのね。」


「まあ、なんとかなりまさァ。」


相変わらずのマイペースだ。総悟はいつも肝心なところでマイペースなんだよなあ。


「ふふふ。」


「……なんでィ。」


「いや、総悟っておかしなところでマイペースだよなあ、って思ってさ。」


「それなら凛華もおかしい。」


「え、まじで?」


おかしいな。ちゃんと鏡で念入りにチェックしたのに。もしかして何か見落とした?


「……今日の凛華はいつもと違いまさァ。」


「え、」


「服装も髪も顔も。」


ひとつひとつ指を差される。


「え、えぇー?そんなにおかしいィ?」


「可愛いって名のおかしいでィ。」


「は、」


か、可愛いって。


「今、何て言った?」


「……男は一度しか言いやせん。」


そうして先に歩く総悟の耳は赤かった。


総悟、私を見てくれてたんだ。


ルンルン気分で総悟の隣まで走り、そこからまたあのデパートへと向かっていく。
 
 
 
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