( 2/3 ) とりあえず街をぶらぶら。私達は他愛もない話をしながら歩いていた。
というか一体どこにむかっているの?
「ね、ねぇ、総悟。」
「なんでィ?」
「私達、どこに向かってるの?」
「………。そういえば凛華には言ってやせんね。」
総悟はそう言って遠くにあるデパートを指差した。
「あそこに向かってんでィ。」
「あ、あそこって!最近オープンしたデパートだよね!?」
実は最近新しくできたデパートでなんでも私の好きなブランド店がいるらしい。
「よかったあ!ちょうど行きたかったんだよねー!」
「そうなんかィ。俺ァあそこが一番女物を選びやすいと思ってねィ。」
女物。
この言葉が胸を苦しめる。
そうだよね、今日は私のためじゃなくてあいつのためだもんね。
けど顔に出さないよう頑張る私。このままだったら女優になれるわ。
「ところであいつの誕生日はいつなの?」
「……それがわからないんでさァ。」
「え?」
「今月とは聞いたけどいつかわからなくてねィ。」
「じゃあ誕生日プレゼントはいつ渡すの?」
「……そこら辺は後で考えまさァ。」
「ノープランなのね。」
「まあ、なんとかなりまさァ。」
相変わらずのマイペースだ。総悟はいつも肝心なところでマイペースなんだよなあ。
「ふふふ。」
「……なんでィ。」
「いや、総悟っておかしなところでマイペースだよなあ、って思ってさ。」
「それなら凛華もおかしい。」
「え、まじで?」
おかしいな。ちゃんと鏡で念入りにチェックしたのに。もしかして何か見落とした?
「……今日の凛華はいつもと違いまさァ。」
「え、」
「服装も髪も顔も。」
ひとつひとつ指を差される。
「え、えぇー?そんなにおかしいィ?」
「可愛いって名のおかしいでィ。」
「は、」
か、可愛いって。
「今、何て言った?」
「……男は一度しか言いやせん。」
そうして先に歩く総悟の耳は赤かった。
総悟、私を見てくれてたんだ。
ルンルン気分で総悟の隣まで走り、そこからまたあのデパートへと向かっていく。 ← もどる →
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