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トシ兄の悪の手から逃れた私と総悟は屯所の屋根の上にいた。


「トシ兄のやつ、まだ探してるよ。」


「あららァ。哀れでさァ。」


ふたりで顔を見合わせ、ぷくくくっと笑う。


「なぁ、凛華。」


「なぁに?」


「実はですねィ、もうすぐあいつの誕生日なんでさァ。」


ズキン


心臓が音を立てて痛む。


「そ、そうなんだ。」


「それでねィ、プレゼントをあげたいんでィ。何がいいと思いやす?」


あいつ、にあげるプレゼント。そんなの考えたくない。それ、私が欲しいよ。


けど、総悟がそれで幸せになるなら私はそれでいい。


よく言わない?あなたが幸せならそれでいいって。まさにそんな感じ。


「あいつが好きなものを買ってあげたらいいんじゃない?」


「そうか……。なにがいいかなァ。」


そう呟いた総悟の顔はとてもとても幸せで満ち溢れていた。


羨ましい、って思わないのがすごいわ。


「多分総悟あてからだったら何でも嬉しいよ。」


「じゃあ凛華。今度一緒に選びにいきやしょう。」


「……え?」
 
 
「俺ァ、女の趣味とかいまいちわかんねーからな。凛華がいたら安心でィ。」


「でも、もしふたりでいるところをあいつに見られても大丈夫?」


「大丈夫でィ。凛華だからな。」


どういう意味よ、それ。


私は恋愛対象外だから大丈夫ってこと?
 
 
 
 
 
 
 
天使を装った醜い鬼
 
 
 
 
 
 
 
そんなこと言えず、私は猫を被り嬉しそうに答える。

彼も楽しみ、と答えてくれる。

けどその幸せ満ち溢れた笑顔は私に向かれてるのではなく、あいつに向いている。

笑顔とは逆に私の中で鬼が暴れ出す。

 
 
 
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