( 4/4 ) トシ兄の悪の手から逃れた私と総悟は屯所の屋根の上にいた。
「トシ兄のやつ、まだ探してるよ。」
「あららァ。哀れでさァ。」
ふたりで顔を見合わせ、ぷくくくっと笑う。
「なぁ、凛華。」
「なぁに?」
「実はですねィ、もうすぐあいつの誕生日なんでさァ。」
ズキン
心臓が音を立てて痛む。
「そ、そうなんだ。」
「それでねィ、プレゼントをあげたいんでィ。何がいいと思いやす?」
あいつ、にあげるプレゼント。そんなの考えたくない。それ、私が欲しいよ。
けど、総悟がそれで幸せになるなら私はそれでいい。
よく言わない?あなたが幸せならそれでいいって。まさにそんな感じ。
「あいつが好きなものを買ってあげたらいいんじゃない?」
「そうか……。なにがいいかなァ。」
そう呟いた総悟の顔はとてもとても幸せで満ち溢れていた。
羨ましい、って思わないのがすごいわ。
「多分総悟あてからだったら何でも嬉しいよ。」
「じゃあ凛華。今度一緒に選びにいきやしょう。」
「……え?」 「俺ァ、女の趣味とかいまいちわかんねーからな。凛華がいたら安心でィ。」
「でも、もしふたりでいるところをあいつに見られても大丈夫?」
「大丈夫でィ。凛華だからな。」
どういう意味よ、それ。
私は恋愛対象外だから大丈夫ってこと? 天使を装った醜い鬼 そんなこと言えず、私は猫を被り嬉しそうに答える。
彼も楽しみ、と答えてくれる。
けどその幸せ満ち溢れた笑顔は私に向かれてるのではなく、あいつに向いている。
笑顔とは逆に私の中で鬼が暴れ出す。 ← もどる
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