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空は真白い雲で覆われていて、今にでも雨が降りそうだ。


その中を傘もささずに街行く人々は平気な顔で歩いている。彼もその一人だ。


「んだよォ。今日は晴れじゃなかったのかよ、ったく。」


彼こと坂田銀時。万事屋銀ちゃんの営業者、つまりいい言い方をすれば社長様だ。


しかし当の営業は全く儲かっておらず依頼も月に何件あるかないかと厳しい営業をここ何年も続けている。


「あ゛ー。またスッちまったよォ。」


……このようにパチンコへ行って負けてくるのは毎日の日課になってしまった。


空を気にしていなかった彼はやっと空の状況に気付いたようだ。


「げっ。こりゃァ雨降りそうだな。」


その予報はあたったらしい。銀時の頬にポツポツと水滴が落ちてきた。


「ッチ。今日は災難だな、オイ!」


とりあえず傘は持っていくよう新八に言われていたので持っていた。片手に持っていた傘をさす。


雨は次第に強くなり、とうとう滝のような雨が降ってきた。


さすがにその中を歩きたくないのでそこらで雨宿りをすることに決めた。


おっ。あそこが最適じゃね?


そう思い、屋根のあるそこにひとりただずむことにした。しかし先客がいたようだ。


「あ、すんませーん。お邪魔させてもらいまーす。」


「……。」


え。なにこの子。めちゃ無愛想なんですけど。銀さん今ひとりで喋ってたみたいじゃん。恥ずかしいじゃん。恥ずかしくて穴よりもっと深いところに潜りたいわ!


先客は女の子だった。しかし声は発さずただただ浴衣が濡れたのだろう、水を絞っていた。


水はかなりの量を絞れていた。気のせいだろうか?彼女の肩が少し震えている気がする。


「お前ァ大丈夫か?寒いんじゃねーの?」


「……あ、えっと。」


やっと顔をあげ声を出した彼女。


驚いた。唇は白く、顔も真っ青。まさに凍え死にますよと言っているようなものだった。


「おまっ!!大丈夫かよ!!」


「だ、大丈夫で、すよ。なん、とか。」


大丈夫という言葉は嘘で(わかりやすすぎ)体はカタカタと震えていた。


「とりあえずお前これ貸すから早く帰れよ。」


自分の片手に持っていた傘を手渡す。


「い、いや。悪いですよ。じゃあ、あなたはこの雨の中どうやって帰るのですか?」


「俺は迎えがいるから大丈夫だ。」


「で、でも…」


じれったい。素直に借りればいいものを。


「いいから!オラ。」


そう言い無理やり開いた傘を無理やり持たせた。


「え、あ、その。」


「いいからそれで帰れ。雨がひどくならないうちに。」


ドンッと背中を押し、歩かせた。


「ありがとうございます。」


やっと観念したのか彼女は一言お礼を言い、少し和らいだ雨の中傘を持ち歩いて行った。







屋根の下で







「ぶぇくしょい!!」

「銀ちゃん風邪アルか?馬鹿は風邪引かないはずネ。」

「神楽ちゃん。馬鹿は風邪引いたことにも気づかないんだよ。」

「あ゛あ゛?なんか言ったか?ズビッ。」

「……本当ネ。」
 
 
 
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