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雲行きが怪しい今日。


「赤彪が今回の殺人事件と関わっているらしいんでィ。」


先日聞いたこの話。


私は気持ちを落ち着かせるために行きつけの珈琲屋という名の甘味屋に寄った。


ガラガラ


ドアを開ける。


「いらっしゃ……。オォ!凛華ちゃん。」


「久しぶり、親父さん。」


私は迷わず定番の席のカウンターに腰をかける。


「久しぶりだねー。元気にしてたかい?」


「すごく元気よ。」


「……言葉の割にはそうでもなさそうだなァ。」


「ははっ。さすが親父さん。」


隠し事なんかできやしない。


「また、何かあったのかい?」


「あったっていうか、久しく聞いていなかった名を聞いたからかな。」


「……そうか。」


「だから親父さん、いつものアレ頂戴。」


「おう。待っとけい。」


そう言って親父さんはのれんの奥へと消えてしまった。


「………。」


外を眺める。相変わらず雲行きは怪しい。


「ふぁぁぁ。」


テーブルに伏せ欠伸をする。なんだか今のこの時の体温が心地いい。


「親父さん、まだかかりそうだから少し寝よ、う。」


私は夢の世界へと旅立った。
 
 
 
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