( 1/3 ) 「ここ、かな?・・・万事屋銀ちゃん。」
こんにちわ。私は凛華と申します。
実は先日、不運続きの続きで車に引かれそうになるわ、猫にやられるわ、犬に追いかけられるわ、更には酔っ払いのおっちゃんにまで絡まれる始末だった。
そんな中、滝のように雨が降った。最悪な気分まっしぐら。
すぐに屋根があるところを探し水を吸収した浴衣を絞る。そんな作業をしていた時だった。
「あ、すんませーん。お邪魔させてもらいまーす。」
彼が来た。
人際目立つ彼は銀髪天パで、生気の見られない瞳、服の上からでもわかる鍛え上げられた筋肉、そして腰にぶら下がっている木刀。
私は見とれた。何故だかわからないが見とれた。
なにか話しかけようかと思ったが何から話していいのかわからず、だんまり。
彼はそんな中、私の心配をしてくれた。確かに寒かったがそこまでじゃなかったような気がする。
結局傘を無理矢理持たされ帰らされた。ちょうど傘を持つところに『万事屋銀ちゃん』と書かれていたので、その言葉を頼りにここまできた。
「傘を返すだけー。傘を返すだけー。」
この緊張感は何なのかわからない。というか何故緊張する必要があるのかがさっぱりわからなかった。
階段を登りチャイムを鳴らす。 もどる →
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