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静かに離れる唇。私はそっと瞳を開けた。


「俺、やっぱお前ェが好きだわ。」


手を引っ張られ椅子に座らされる。銀さんは向かい側のベッドの上に座った。


手は握ったまま。


「大事な話があんだ。聞いてくれっか?」


私はコクリと頷いた。


銀さんは一呼吸して話しはじめる。


「実は、俺お前ェの姉貴知ってんだ。絢華のこと。」


罰悪そうな顔で銀さんは言う。


「………ふふ。」


そんな銀さんを見てつい笑みが零れる。


銀さんは驚いた様子で尋ねてきた。


「なんで笑って、」


「知ってましたよ。姉上が貴方と知り合いだったこと、貴方を庇って亡くなったこと。」


そう言うとさらに顔を俯かせ罰悪そうな顔で謝ってきた。


「………悪ィ。」


「いいえ。寧ろ姉上には感謝しています。」


「?」


「だって姉上が助けた命がこうして生きて私を愛してくれているのだから。」


「凛華……。」


「それに謝るのはこっちの方です。今回の事件に巻き込んでしまって、」


ぎゅっ


暖かい、そう思った時には銀さんに抱きしめられていた。


「俺は凛華の役に立ったか?」


「え、」


「凛華の役に立ったんなら『ごめん』じゃなくて『ありがとう』って言葉が欲しい。」


ニッコリ微笑む顔は私が今一番見たかった顔で、一番安心する顔で……。


「ありがとう、ありがとう銀さん。







世界一大好きよ!
 
 
 
 
 
 
 
最初の出会いはあの曇天の日。

あれは偶然か必然か、はたまた運命か。

出会ってから幾度もの道程を越えてきた。一人ではなく貴方(お前)と一緒に。

これからも私達(俺ら)は空を仰ぎながら肩を並べて歩いて行くだろう。

曇天の下で。

 
 
 
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