( 3/4 ) 静まる病室。
新八くんは気を使ってくれてか病室を出ていった。
今は銀さんとふたりきり。
「凛華ちゃーん。」
「は、はい!?」
「どうしてそこで突っ立ってんの。こっちおいでよ。」
来い来い、と手招きをされる。しかし申し訳ない気持ちもあってか中々動き出せない。
その行動を見て銀さんがひとつ溜息を零す。そして口を開いた。
「あと5秒以内に来なかったらちゅーしちゃうぞ。」
「!!?」
顔が真っ赤になる。
「はい、ごー。」
カウントダウンが始まるも私の心は色々な感情が入り混じっていた。
「よーん。」
私が迷っている間もカウントダウンは進んでいく。
「さーん。」
「あわわわわ!!」
「にー。」
ベッドからよっこらせと起き上がり、床を歩く。行き先は勿論私がいるところ。
「ぎぎぎぎ銀さん!!?」
「とめねーよ。いーち。」
「あああの、」
「逃げるなら今のうち。」
その時鋭く赤い瞳に捕まった。私と銀さんの視線が交差する。
それがとても長い時間に感じられた。
「ぜーろ。」
「わっ!」
ぐいっ
腕を掴まれ引かれる。私の顔は銀さんの胸板にあった。甘い香りがする。
「……逃げねーってこたァ肯定ととってもいんだな?」
私は返事の代わりに腕を銀さんの背中に回した。
銀さんの顔が私の目の前にくる。息がかかるくらい近い距離。恥ずかしさなんて消えてた。
「可愛いなコノヤロー。」
「っん。」
私達の影が重なった。 ← もどる →
|
|