( 2/4 ) 銀さんが来る前、私は高杉に交渉を持ち出された。
「交渉………?」
「あぁ、交渉だ。」
手に持っていた刀を終い、懐から煙管を取り出し吸いはじめた。
「お前、それで本能を押さえたつもりか?」
「!!」
「血に飢える赤彪よ。」
「………。」
「俺らはそんな本能を本能のまま出せる環境を持っている。」
「そ、そんな環境。」
地獄ではないか。
「こんな平和ボケの環境でお前ェはいつまでその本能を保てんだ?」
「……本能は保ってない。もう必要無いからしまってるだけです。」
「今俺が必要としてんだ。だせや。」
「強引な人ですね。嫌です、と言ったら?」
チャキッ
刀を構える。
「だったら、」
高杉も構える。
「力ずくで出すのみよォ。」
そんな時に、そんな時にだ。
「凛華っ!!」
あなたが来た。
「――――っ銀さん。」
なんで、どうしてそんなに必死で走ってくるの?
お腹から血が出てるよ?痛いのでしょう、辛いのでしょう? なのに、どうして……。
「凛華――っ!!」
あの日の私を庇って死んじゃった雄太郎の声と重なった。
「来ないで……っ!!」
私は拒絶した。一瞬傷ついた顔をした銀さん。だけど歩みを止めない。
後ろの高杉から殺気が飛び立つ。
「ダメ、来ちゃ、ダメです……。」
これ以上来たら・・・。
高杉が通りすぎるのがわかった。しかし止められない。
「ぐああぁぁぁ!!」
あの時私を庇った雄太郎を思い出して。
「ぎ、さん!!」
しかし
ガキィィィン
私の予想とは裏腹に銀さんは高杉の剣を受け止めた。
あぁ、もうダメだ。
そんなところ見せられたら弱い私は、
銀さんを頼ってしまうよ。 ← もどる →
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