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銀さんが来る前、私は高杉に交渉を持ち出された。


「交渉………?」


「あぁ、交渉だ。」


手に持っていた刀を終い、懐から煙管を取り出し吸いはじめた。


「お前、それで本能を押さえたつもりか?」


「!!」


「血に飢える赤彪よ。」


「………。」


「俺らはそんな本能を本能のまま出せる環境を持っている。」


「そ、そんな環境。」


地獄ではないか。


「こんな平和ボケの環境でお前ェはいつまでその本能を保てんだ?」


「……本能は保ってない。もう必要無いからしまってるだけです。」


「今俺が必要としてんだ。だせや。」


「強引な人ですね。嫌です、と言ったら?」


チャキッ


刀を構える。


「だったら、」


高杉も構える。


力ずくで出すのみよォ。」


そんな時に、そんな時にだ。


「凛華っ!!」


あなたが来た。


「――――っ銀さん。」


なんで、どうしてそんなに必死で走ってくるの?


お腹から血が出てるよ?痛いのでしょう、辛いのでしょう?
 
 
なのに、どうして……。


「凛華――っ!!」


あの日の私を庇って死んじゃった雄太郎の声と重なった。


「来ないで……っ!!」


私は拒絶した。一瞬傷ついた顔をした銀さん。だけど歩みを止めない。


後ろの高杉から殺気が飛び立つ。


「ダメ、来ちゃ、ダメです……。」


これ以上来たら・・・。


高杉が通りすぎるのがわかった。しかし止められない。


「ぐああぁぁぁ!!」


あの時私を庇った雄太郎を思い出して。


「ぎ、さん!!」


しかし


ガキィィィン


私の予想とは裏腹に銀さんは高杉の剣を受け止めた。


あぁ、もうダメだ。


そんなところ見せられたら弱い私は、


銀さんを頼ってしまうよ。
 
 
 
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