( 2/3 ) 「――――宴、だと?」
「そ。今世紀最大の宴だよ。」
高杉繭果はコンテナの上に座り話す。刀は鞘に収めてるので戦う気はないらしい。
が、殺気はものすごくたっている。
「銀ちゃん知らないだろ?」
「あ?」
「赤彪の秘密。」
「秘密だあ?」
ニコリ、と効果音がつきそうな笑顔で返事をする。
それが背中をゾッとさせた。
「赤彪は爆弾を抱えてんだよ。」
「爆弾!?」
「血に染まりてーっていう欲望という爆弾をな。」
クククッ、と喉で笑う。奇妙で鳥肌が立つ。
ここまで聞いて俺は確信した。
「………てめー、まさか。
凛華を利用して江戸をブッ壊すつもりか?」
「やっと気づいたかァ?」
アハハハハ、渇いた笑い声が空に響く。空は既に夕暮れだった。
「でも銀ちゃんはひとつ間違ってる。」
「………。」
「利用、ってのは使ったら捨てんだろ?
私らは姫路野凛華を身も心も鬼兵隊に染めるのさ。」
「〜〜〜〜〜てめェェ!!」
「いやあ、さすが兄貴。考えることが大人だわ。」
まさか、こいつ!
「オイ、繭果。」
「んだ?」
「もしかして今回の幕府関係者殺人事件は、お前ェの仕業か。」
繭果はスクッと立ち上がり答えた。
「なあに、赤彪をおびき寄せるためのほんの少しの茶番さ。」
「―――っ!!」
こいつは茶番で人を殺せるようになったのか。なんて変わりようだ。
「ま、見事に作戦成功。今頃万斉と殺りあってるんじゃない?」
「ヘッドホンヤローとか!?」
俺は凛華がいるであろう港に走っていった。が、しかし、
「ねぇ銀ちゃん。人の話聞いてた?」
目の前にいつの間にか繭果が立つ。
「どけよコノヤロー。」
「兄貴の邪魔すんなよ。」
「兄貴の邪魔だァ?邪魔はお前ェだろ。」
「調子乗んなよ。私身内殺すの嫌いなんだ。」
「誰が身内だコノヤロー。こんなできの悪ィ奴身内じゃねーよ。」
ガキィン
刀と木刀が交じり合う。
「………今更だけど私昔から銀ちゃん苦手だ。」
「そりゃあ奇遇だな。俺もだ。」 ← もどる →
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