( 2/3 ) 私は本当に幸せ者だ。
この江戸でたくさんの人に会えた。
神楽ちゃんに新八くん、お登勢さんにキャサリンさん、たまさん。真撰組の土方さん、総悟くん。
そして、銀さん。
たくさんの人と出会えて笑えて泣いて。
いままで生きていた中で充実した時間だった。
「……ありがとう。」
拳を握り、腰にある刀をとる。
柄を持ちゆっくりと抜いていく。刃を全て出し構える。
「行こう。」
自分に言い聞かせ、歩いていった。
そこは古い一式の建物。港の近くにある建物だ。
私はその古びた建物の扉に手をかける。
ギィィィ
錆びた音を出しながら扉が開いていく。
バタン
全てが開き、中を確認する。
「ほぅ。主が赤彪か?」
暗闇でよく見えないが男の声がした。
「えぇ。私が本物の赤彪です。」
カツ カツ
歩く度に戦闘用のブーツが音を立てる。
「で、私を脅して呼んで何のつもりですか?」
「そう簡単に理由を言うと思うか?」
暗闇に慣れた目に写った男はサングラスでヘッドホンをつけた男だった。
「河上、万斉……。」
「よく知っているでござるな。」 「当然です。過激派危険攘夷志士、高杉晋助派のメンバーですからね。」
カチャッ
刀を構える。
「私そういうの大嫌いなんです。 国を、幕府を変えたいんなら市民を巻き込まない方法でしてくださいます?」
「赤彪殿。調子にのるのもこれぐらいにしとくでござる。」
「調子なんかのってない。調子にのってるのは、てめーらだ。」
「………。ふざけるのもここまででござる。」
チャキン
暗闇の中、二人が刀を構える。
「攘夷戦争の英雄赤彪の腕、試させていただく。」 ← もどる →
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