( 1/3 ) 「は、は、はっ!」
江戸中を走り回る。しかし奴の姿は見当たらなかった。
「―――くそっ!!」
俺は地面を勢いよく踏む。しかし地面はびくともしない。それが余計に腹が立つ。
「ありがとう、銀さん。」
あれ以来、凛華の姿は見ていない。
もしかしたら、と思い凛華の家を訪ねたが留守だった。大家にあいつが何か言っていなかったか聞いてみた。
「なんかねェ、凛華ちゃんが1ヶ月以上帰ってこなかったら家を渡すとか言ってきたのよ。どうしたのかしらね、急に。」
もしかしたら、が的中した。
凛華が出ていってまだ数時間しか経っていない。
そう遠くには行ってないはずだ。
「凛華………。」
やっぱり聞くべきではなかったか。
彼女は自分の正体がバレたからここにはいられない、と思い出ていったのかもしれない。
「っざけんな……っ!」
まだ伝えてーことがあんだよ。伝えてーことがあんのに勝手にいなくなるとかアリかよコノヤロー。
その時、
「旦那ァ。そんなに慌ててどうしたんでィ。」
アイスを食べている総一郎君がいた。
「総一郎君!」
「総悟でさァ旦那。いい加減覚えてくだ、」
総一郎君が全てを言い終える前に俺は肩を掴んだ。
「凛華知らねーか!?」
「………凛華?」
「あぁ!この前レストランで会ったやつだよ!!」
「あいつですかィ。さっき見やしたよ。」
「どこで!?」
肩を掴む手に力を入れる。
「……港。」
「あ?」
「あっちにある港に向かって歩いてやしたよ。」
「、さんきゅ!」
肩を掴んでいた手を離し港へ向かい走り出した。
「……嫌な予感がしまさァ、旦那。」
沖田は携帯を取り出した。 もどる →
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