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「俺にか?」


「はい。」


凛華は俺に微笑んだ。


「あれは、攘夷戦争真っ只中でした。」










その時私は足をやられていまして、周りに仲間もいない状態の時でした。


「オイオイ。てめー何モンだァ?」


首に刃を向けられ内心焦りました。もうここで殺されるのだと。


しかしあなたはすぐ刀を降ろし私の前でしゃがみました。


「怪我してんのか?」


声を出したら女だとバレるので声を出さず頷く私。当時はすごく短髪だったので男の子みたいでした。


「あちゃー。血の量すげーな。」


呆れながらも止血してくれました。


そして帰るのかと思いきや、


「お前ひとりだと危ねーだろ。」


貴方はそこに留まっていました。


それから雄太郎が来て貴方は去っていきました。











「この時のお礼を言おうと私は銀さんに近付きました。しかしタイミングを逃してしまい……。」


「……覚えてねーわ。」


「いいんです。私が覚えてるから。」


そして俺を再び見つめ、言った。


「私はむやみに人は斬りません。私が剣を握る時には必ず理由があります。理由があって赤彪が存在するのです。


今回の事件は理由無しの行動です。今更幕府などどうでもよいです。


よって私はこの事件には関係ありません。」


「………そうか。ありがとな。」


俺はちっちぇー凛華の頭に手を乗せ優しく撫でる。まるで壊れ物を扱うみたいに。


凛華の発言が嘘だと思えない。


ということは今回の幕府殺人事件は赤彪を勝手に名乗る別人ということだ。


「一体誰が……。」


「銀さん。」


凛華が俺を呼ぶ。


「私、銀さんに会えてよかった。」
 
 
 
 
 
 
 
記憶を彷徨い
 
 
 
 
 
 
 
そう言った凛華の笑顔は今までの中で一番美しく、儚いと思った。

それが何の意味を表すのか、この時少しわかっていた。

わかっていたのに止めなかった俺は後で後悔をする。

 
 
 
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