( 3/3 ) 「何々?幕府関係者殺人事件またもや発生、幕府恨み者現る。」
「んだそれ?」
ソファに寝転がる俺が新聞を広げ読んでる神楽に問う。
「最近ここらで起こってる事件ですよ。すごい事件らしいです。」
「……ふーん。」
小指で鼻をほじくる。
「そういえば最近凛華さん見ませんね。」
「んだなー。」
「元気にしてますかねー。」
「んだなー。」
「銀さん、会いたいんですか?」
「んだなー。………って、は?」
そこにはニヤニヤした神楽と新八がいた。
「いやいやいや。今のは違うからね。今のは、ほら、適当に流してただけで……。だから、」
「おばちゃん、そういう言い訳嫌いヨ。男ならはっきりしなさい。」
「うるせーババア。」
「工場長とお呼び!」
わーぎゃー、と戦闘が続く。
と、その時
ピンポーン
家のチャイムが鳴る。
「はーい。
あれ?凛華さん。」
「え?凛華?」
バタバタと玄関に行く。そこにはあの、凛華がいた。
「こんにちわ。近くに来たので寄らせて頂きました。」 「どうぞどうぞ。上がってください。」
新八はスリッパを準備し、お茶の準備を急ぐため台所に急いだ。凛華はお構いなくー、と言うが聞こえていまい。
「……銀さん。」
「ん?」
俺の着物の裾をきゅ、と掴みゆっくりと口を開く。
「私は荷物を預けることはできません。」
「………。」
「ですが、ぶら下げて歩いときます。」
「……は?」
にこ、と微笑む。
「ですので、もしぶら下げたものが落ちたら拾って下さいね。」 謎は深まるばかり 彼女はきっと素直ではない。
だから自分で頼んで荷物を持ってもらうのではなく、自然と落ちたものに触れさせようという魂胆だろうか。
あくまで偶然を装って。
「……御望み通り、拾ってやらァ。」
「ありがとうございます。」
その時の彼女の笑顔は最高に輝いていた。 ← もどる
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