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「ぎ、さん。」


声の主は銀さんだった。彼はいつもの天パではなく雨で濡れていて少しペタンコになっていた。


「え!?泣いてんの!?悪ィ!銀さんなんかした!?」


あわあわ、と慌て出す銀さん。その手を私は握った。


「大丈夫、ですのでもう少しだけこのままで…。」


彼は少し照れながらも手を握り返し隣にしゃがみ込む。


「凛華さ。」


「はい…。」


「あんま背負い込むなよ。」


「え、」


「人間誰しも忘れねェことぐらいある。お前だって俺だって。


けどなそれをひとりで背負い込むのは間違ってる。少しだけでいいから他の奴に預けろ。んで背伸びしてみろ。


きっと周りがよく見えっぞ。」


ニッと銀さんが歯を出して笑う。その笑顔はとても眩しかった。


「だから言ったろ。あんま背負い込むなって。少しは他人に荷物を預けろ。」


彼の言葉と重なった。


「…ありがとうございます、銀さん。」


にこりと私は微笑み返した。


「おう。」


空を見上げる。いつの間にか雨は止んでいた。


「ここじゃなんだし…。万事屋来るか?」


頭を掻きながら照れ臭そうに聞いてくる。彼の手をぎゅっと握り、そして答えた。


「はい!!」
 
 
 
 
 
 
 
君は太陽、私は影
 
 
 
 
 
 
 
「けーったぞォ。」

「お帰り…ネ…。」

「あ、お帰りなさ…い。」

「「?」」

「二人ともどうしたの?固まっちゃって。」

「凛華、銀ちゃんの恋人アルカ?」

「は!?なななななんで!?」

「手、握られてますよ。」

「「あ。」」

 
 
 
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