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「ふあー!!つーかーれーたー!」


ドサッ大きな声と共に倒れる体。一気に全身の体が浮いたようなふわふわとした感じに襲われそして瞼が自然と重たくなる。


それに抵抗せず流れのままにされようとしたその時、頭に重みがかかった。


「お疲れ。」


そのまま左右に揺れる頭。きっと撫でられているのだろう。とても心地よかった。わたしはその声の主に目を向けた。


「土方さーん。本当に疲れましたー。」


「お前今回よく頑張ったもんな。」


「はいー。わたしにしては頑張りましたー。」


「報告書、楽しみにしてんぞ。」


「げ、まじでか。」


わたしはここ真撰組の一番隊隊士をしている苗字名前である。今回一番隊の何人かの隊士が攘夷志士検挙のため少しの間、京の方へと行っていたのだ。わたしもそのひとりである。


ご察しの通り見事大量の攘夷志士を検挙し素晴らしい働きを残してここに帰ってきたのだ。


帰ってきた早々お腹が空いてしまい丁度お昼時ということもあり足を引きずりながら食堂へと足を運んできたのだ。


そして今に至る。


「つか報告書何書けばいいんですか。」


頭から手を離し土方さんは苦笑いをしながら答えた。


「書く事たくさんあんだろ。検挙前後の状況とか攘夷志士の特徴とか。」


「えー、監察(地味)の仕事みたい。」


「それさりげなく山崎に喧嘩売ってんぞ。」


「さりげなくじゃない!思い切り喧嘩売ってます!」


「...馬鹿だな。」


と、その時だった。


「そこどけィ、雌豚とマヨ方。」


「「はい!?」」


突然の背中からの罵声。突然すぎて大きな声で返事をしてしまったではないか。振り向かなくても人物は特定できるが体を捻って後ろを見る。


「お前はマヨを馬鹿にすることしかできねーのか総悟!!」


「俺はマヨを馬鹿にしてんじゃねー、土方さんを馬鹿にしてんでさァ。」


「おーし!!刀を抜けェェェェ!!」


そこには美味しそうな昼食が乗っているお盆を持ったまま突立っている沖田隊長がいた。沖田隊長は相変わずのポーカーフェイスで土方さんの言葉を無視する。土方さんは他の隊士に止められながらどこかへ行ってしまった。


そして土方さんの横を通り過ぎわたしに近づいてきた。


「そこは代々から俺の専用席だって決まってんでィ。どけ。」


「は?沖田隊長お言葉ですが別に食堂に専用席とか決まってません。」


「...可愛くない部下でさァ。普通ならそこは可愛い声でも出して隊長様に席を譲るモンでィ。」


「可愛くなくて結構です!そんな悪口言うんなら席譲りません!あーあせっかく譲る気でいたのにー。」


「別にいいでさァ。どこでもよかったし。」


「結局専用席とか関係ないじゃん!!」


その言葉をスルーし沖田隊長はわたしの隣の席に座る。そしてしれっとした顔で美味しそうな昼食を食べ始めた。行動ひとつひとつが大人びていて腹が立つ。わたしの子供っぽさが目立つではないか。そんなことを思いながらもその美味しそうな昼食に目を奪われる。


「......。」


「そんなに見つめてもあげやせん。自分で取ってこい。」


「隊長ー。わたしさっき任務から帰ってきたばかりなんですよねェ。」


「ふーん。」


「足やら腰やら頭やらその他諸々がもう痛くて疲れきっていて...。」


「それは老化現象でさァ。」


「お、お腹の方もご飯を求めているんです。だけど体が言うことを聞かなくて。」


「人間死ぬ気でやれば誰でもできる。」


「......あー!!もうああ言えばこういう!!」


「言葉のキャッチボールをしてやっているだけでさァ。」


「最悪のキャッチボールですよ!」


沖田隊長はわたしのことを苛めるのが誂うのが面白いのかよく絡んでくる。おかげでわたしは一日に何回も大声で騒いでいる気がする。その度に深い溜息が出るのが習慣となってしまった。嫌な習慣だ。


「あー、もういいもん。」


「はいはい。」


「今日土方さんに褒められたからそれでいいもん。」


「......。」


「ふーんだ。」


顔をテーブルに伏せ怠い体を再び預け寝ようとした。起きたら体が軽くなっているだろう。その時にご飯を取りに行けばいい。


ガタッと隣で席を立つ音がする。ご飯を食べ終わるには早すぎるのだがトイレだろうか。ご飯中に隊長がトイレなんて珍しい。思わず顔を上げてしまった。


その時、じっとこちらを見る沖田隊長と目が合った。


「...え、な、なんですか。」


「なにがいいんでィ。」


「は、はい?」


「だから何が食いたいんでィ。」


いつもポーカーフェイスの隊長が少し不機嫌な顔をしてわたしに問うた。急なことでびっくりしてしまった。


「は、は、はい?」


「早く言わねーと取りに行かねーぞ。」


「た、隊長どうしたんですか急に。なんかいつもの隊長じゃない気がしてきも」


「残り10秒ー。」


「え、」


「9秒前ー。」


「あ、え、」


「8秒前ー。」


「カ、カツ丼!」


咄嗟に思いついた料理名を答えると、隊長は笑いを堪えながら財布を持って食堂口に歩いて行った。


「あ、お金...っ!」


「名前。」


お金を出そうと財布を取り出した時だった。不意に名前で呼ばれて目線が隊長の方へといく。


「俺のこと名前で呼べ。」


それでチャラにしてやりまさァ、と一言付け加え歩く隊長の背中を唖然と見つめていた。


「な、なんでェ!?」


なんで名前で呼ばなればならないのか、どうして苗字で呼んじゃいけないのかさっぱりわからなくて頭が痛くなった。







表現のしかた







「な、なんでなんですかァァ!?」

「いいから早く呼んでみやがれィ。」

「これには一体なんの意味があるんですか!?」

「様々な理由でィ。さあ呼べ。」

「き、きゃあああ!!」


「青春してんなァ総悟。な、トシ!」

「...あの総悟がなァ。」




>>> あとがき



食堂でのほのぼのギャグということでしたが如何でしたでしょうか?
なんか話が纏まらなかった気もしますが...。本当にすみません。
でも書いていて本当に楽しかったです\(^O^)/
ねね様リクエストありがとうございました!


 
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