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晋「?」
なにか廊下に赤い跡が点々とある。好奇心で辿ってみる。
晋「(行ったり来たりしてらァ。)」
ふと人の気配を感じる。警戒しつつ前を見るとそこには血まみれの璢が下を向いていた。
晋「てめっ!!」
璢「?」
顔を上げた璢は頬にまで血がついていた。足跡は璢のところで終わっている。足跡の犯人はコイツか。いや、そんなことよりも。
晋「なんでそんなに血まみれなんだ。」
璢「………。」
外は暗いがはっきりわかる。怯えてる様子が一切なく真っすぐとした瞳をしていた。吸い込まれそうな大きな瞳だった。
璢「人。」
ポソリと呟く。
璢「また人、殺しちゃった。」
言葉は残酷だが目の表情は変わらない。
璢「でも、父さん護れたから。」
ニコリと微笑む。
晋「ハッ。何が父さんだよ。本当の父親でもねーくせに。」
璢「本当の父親じゃなくても私の父さん。一生私の父さん。」
まただ。その吸い込まれそうな大きな瞳。その瞳は一体なんだ?
晋「フン。とりあえず廊下を汚されるの嫌だからついて来い。
てめーの父さんとこに案内してやる。」
璢「………ありがとう。」
面白い瞳をしやがる。とりあえず先生に害はないとわかった。一安心だ。あとはその瞳を観察しようか。
それから部屋を連れていった時の先生の慌てぶりは心に秘めておこう。
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