012
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実技をするとは言っていたが、一体何をするのだろうか? 私は黙って父さんについていった。
松「さあ。入ってください。」
下に向けていた顔を上げる。案内された場所、そこは道場だった。
中では既に何人かの子供が竹刀を振り回している。
璢「すごっ…。」
その練習姿に私は感動した。
松「璢も今日から剣について学ぶのです。」
父さんが私に一本の竹刀を渡してきた。
璢「……はい。」
それを壊れ物のように大切に受け取った。
松「では、まずは基本から。」
そういい父さんは私に一から手取り足取り教えてもらった。
竹刀の持ち方、振り方、手や足の動き、体の動きなど。あともうひとつ、戦う理由についても。そして知った。私はこの人のために刀を振るっていこうと。そう誓いを立てたのだった。
――――――――………
桂「ん?あそこで練習しているのは…。」
銀「あぁ。今日入った奴じゃねェの?中々可愛いと思うけどな。」
桂「たしかに。しかしやはり人妻の方が、」
銀「相変わらずの人妻好きだよな、てめー。」
遠くの方で桂と銀が璢について話していた。
晋「…………くだらねェ。」
妙に気にくわねェ。一向に喋らねぇし、表情も変えねー。先生も先生だ。もし先生の命狙ってたらどうするんだろうか。
晋「チッ。」
ブンブン
俺はまた竹刀を振り始めた。
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