012
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「先生!!お帰りなさい!」
髪を後ろで結っている黒髪の男の子が父さんに近寄る。
「先生…。その子は?」
松「また後で紹介するよ、小太郎。それより銀時や晋助達はもういるかな?」
桂「はい。先生の言う通りちゃんと叩き起こしました。」
松「ありがとう。じゃあ、行きましょうか。」
長い縁側を私達は歩いていった。すると突然黒髪がこちらを向く。私は何かされると思い距離をとった。
桂「俺は桂小太郎だ。よろしくな。」
警戒心の解けない私は頭を下げることしかできなかった。
松「璢、小太郎。着きましたよ。さあ、入ってください。」
スッと襖が開く。
隙間からたくさんの人が見えた。10人程度だったが私はやはり警戒心が解けず父さんの後ろに隠れた。小太郎は何事もなくその中の空席に座った。
松「みなさん、おはようございます。」
「「「おはようございます!!」」」
ビクリ
私はまた肩を震わした。そんな私に気づいたのか父さんは背中をリズムよく叩いてくれる。
松「今日は私の娘を連れてきました。美菅原璢です。みなさん仲良くしてあげて下さいね。」
「娘…?」
紫がかった髪の男の子がぽつりと呟く。
松「はい。今日から私の娘になりました。璢。挨拶できますか?」
私は大きく首を横に振った。
松「そうですか。じゃあ璢、あそこの席が空いてますのであそこの席に座って一緒にお勉強しましょう。」
父さんが指差した席を見る。私は頷き早歩きで席に座る。
松「それでは始めましょうか。」
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