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医務室で近藤さんの治療をした私はみんなを呼んだ。


璢「幸い弾に毒は盛っていませんでした。だけど弾が肩を貫通しています。当たり所が悪かった場合、剣は握れないです。だから病院で精密な検査をした方がよろしいかと。」


土「美菅原、ありがとう。てめーがいなかったら近藤さんは…」


璢「いえ。これぐらいの治療なら慣れてます。」


山「副長。監察の方からも報告です。


ホシは"廻天党"と呼ばれる壤夷派浪士集団。桂達とは別の組織ですが負けず劣らず過激な連中です。」


土「そーか。今回のことは俺の責任だ。指揮系統から配置まで全ての面で甘かった。もっかい仕切り直しだ。」


土方さんが立ち上がった時だった。


「副長。」


隊長の原田が言った。


原「あのガマが言ったこと聞いたかよ!あんな事言われてまだ奴を護るってのか!?」


山「副長、勝手ですがこの屋敷色々調べてみました。倉庫からどっさり麻薬(こいつ)が…。」


山崎の手には麻薬の転生郷が入った袋があった。


山「もう間違いなく奴ァ、クロです。こんな奴を護れなんざ俺達のいる幕府ってのは一体どうなって…」


土「フン。何を今さら。」 
 

土方さんは再び立ち、襖を開けた。


土「今の幕府は人間(オレたち)のためになんて機能してねェ。んなこたァ、とっくにわかってたことじゃねーか。


てめーらの剣は何のためにある?幕府を護るためか?将軍を護るためか?俺は違う。


覚えてるか。あの頃学もねェ、居場所もねェ剣しか能のないゴロツキの俺達をきったねー芋道場に迎え入れてくれたのは誰か。


廃刀令で剣を失い道場さえも失いながらそれでも俺達見捨てなかったのは誰か。


失くした剣をもう一度とりもどしてくれたのは誰か。


…幕府でも将軍でもねェ。俺の大将はあの頃から近藤(こいつ)だけだよ。


大将が護るって言ったんなら仕方ねェ。俺ぁそいつがどんな奴だろーと護るだけだよ。」


土方さんはそう言って外に出た。私も外の空気を吸いたかったので一緒に外に出た。


 
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