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璢「春雨?」
桂「あァ。奴らの主だった収入源は非合法薬物の売買による利益。その触手が末端とは言え、地球にも及んでいるというわけだ。
天人に犯された幕府の警察機構などアテにできん。我等の手でどうにかしようと思っていたのだが。貴様らがそれほど追い詰められる位だ…。よほど強敵らしい。時期尚早かもしれんな。
オイ。きいているのか?」
銀兄はヅラ兄の話の途中に腰をあげ、自分の上着をとる。そして上着を肩に掛け言った。
銀「仲間が拉致られた。ほっとくわけにはいかねェ。」
璢「銀兄ィ…。」
私もその言葉を聞き、腰をあげ布団の横においてある刀をとった。
桂「その身体で勝てる相手と?」
銀「"人の一生は重き荷を負うて遠き道を住くが如し"
昔なァ徳川田信秀というオッさんが言った言葉でな…」
桂「誰だ!そのミックス大名!家康公だ、家康公!」
徳川田信秀とかすごい名前だなァ。よく思いついたね。
銀「最初にきいた時はなにを辛気くせーことをなんて思ったが、なかなかどーして年寄りの言うこたァバカにできねーな…。」 璢「たしかに荷物ってもんじゃないけど、誰でも両手に大事に何かを抱えてる。けどかついでる時は気づかないよね。」
銀「その重さに気づくのは全部手元からすべり落ちた時だ。もうこんなもん持たねェと何度思ったかしれねェ。なのに…」
璢「またいつの間にか背負い込んでいた。いっそ捨ててしまえば楽になれるかもしれないけど、どうしてもそういう気にはなれない。」
銀「荷物(あいつら)がいねーと歩いててもあんま面白くなくなっちまったからよォ。なァ、璢。」
璢「うん。」
私らは4人で万事屋なんだから。
桂「………………。仕方あるまい。お前達には池田屋での借りがあるからな。
ゆくぞ。」
銀璢「「あ/え?」」
桂「両腕では荷物などもてまいよ。今から俺がお前達の足だ。」
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