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銀「さぁっせーーん。多串君いますかー!?」
銀兄が多串君こと土方さんを大声で呼ぶ。
璢「まだ多串君扱いしてるの?本物の多串君が可哀相だよ。」
銀「そっか。じゃあなんて呼ぼうかァ。」
璢「ニコマヨらぶらぶどっきゅん。」
銀「なんかそれ言う方が恥ずかしいんですけど…。」
璢「大丈夫!!銀兄なら言えたらいいなぁ。」
銀「願望だよ、それ!」
ギャアギャア屯所の前で騒いでいたら門番が話し掛けてきた。
「あのー。なにかご用ですか?」
銀「あん?ご用あんだけどお宅のニコマヨらぶらぶどっきゅんさんが出てこないんだよ。呼んでこいよ。地味崎。」
山「山崎です!いい加減覚えてくださいよォ。」
銀「わーたから早く呼んでこい。」
山「…わかりました。けど立ち話もなんですからどうぞ上がって下さい。」
銀「だとよ。璢。」
璢「う…うん。ありがとう。地味崎さん。」
山「だから山崎ですってば!」
全くといいながら地味崎さんは歩き出したらしい。じゃりじゃりと砂の音がする。私達もついていこうと歩いた時だった。
璢「わっ!」 なにかに躓いたらしい。体が前によろめいた。
銀「おっと。」
私の体は地面に倒れることはなく、かわりに固いものに当たった。その固いものとは銀兄の胸板だった。甘い香り漂う。
璢「ご、ごめん。ここら辺段差があるの?次からは気をつけるわ。」
銀「ったく。危っなかしいなァ。」
ひょいっと体が持ち上げられる。背中と膝裏に感触があったので多分世間で言われているお姫様抱っこをされている。
璢「あの、ははははは恥ずかしいんですけど!!」
銀「ほら行くぞ。」
璢「無視!?無視なのかコノヤロー!!」
私をお構いなしにぐんぐん進んでいくのがわかる。さわさわとあたる風が気持ちいい。
山「どうぞ。じゃあ俺は副長呼んできます。」
銀「おぉ。」
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