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私は刀を土方さんと沖田さんの前に出した。
璢「小さい頃から持っててご飯食べるときも、寺小屋で勉強してるときも、遊びに行くときも、お風呂入るときも寝るときもずーっと持ってたんだよね。
その習慣、ていうの?生活の一部を急に取られても困るわけ。おわかり?」
土「いや…。ちょっと待て。どうしてお前はそんなに上から目線なんだ。」
璢「わたしの生活の一部をとろうとするから。怒ってるの。」
土「生活の一部って。お前ェなァ。」
ふと土方は思った。銀髪野郎を攻撃しようとした時のあの受け止めの速さ。いくら小柄だからといってあれは速すぎる。日頃からちゃんと鍛練をしてても得られるかどうか…。
璢の目をじっと見る。真っすぐな瞳だ。嘘をついているようには見えねェ。しかしここで取り逃がして実は攘夷志士と繋がっていたということになると…。
璢「ひどい…。土方さんは今までの私の生活の一部を奪うの?そりゃ剣なんてものは危ない。もしかしたら攘夷志士じゃないかとか思われるかもしれない。けど…。」
ううぅっと璢は泣きはじめた。
…畜生。女の涙というのは卑怯だ。しかしずっと泣かれていては困る。なぜなら
沖「あーあー。土方さーん。女の子泣かしちまってますぜィ。土方さんとあろう人が女の子を泣かせるなんてねィ。」
璢「うぅ。ぐすっ。ひっぐ。」
銀「おぅおぅ。警察さんやァ。うちの璢を泣かせるとはいい度胸ですなァ。どう落し前つけてくれんだァ?」
コ、コイツらなんて腹立つ顔してやがる。ぜってェ悪魔かなんか飼ってるだろ。
俺はちらりと璢を見た。 ……………………。
土「だァァァァァァァァァ!!! わかったよ!!刀は持っててもいい!!」
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