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( 8 / 8 ) それから私達は子供達を外に出させた。神楽は相変わらず子供達と遊んでいる。
そんな様子を縁側に座り見ていた。
銀「オイオイ、いいのかよ。どこの馬の骨ともしれん奴に茶なんか出して…。鬼退治に来た桃太郎かもしれねーぜ。」
道「あなたもいいのですか?血生臭い鬼と茶なんぞ飲んで。」
璢「だったら私も同じだ。」
ニッ、と歯を出し道信に笑いかけた。
銀「それにこんなたくさんの子供に囲まれてる奴が鬼だなんて思えねーよ。一体この子たちは?」
道「みんな私の子供たちですよ。」
銀「あらま〜。若い頃随分と遊んだのね〜。」
道「いえそういう事では…。みんな捨て子だったのです。」
璢「孤児…。まさかこいつら養うためにあんなことを…。」
道信は1歳ぐらいの赤ん坊を抱き、答える。
道「私がそんな立派な人間に見えますか?この血にまみれた私が…。」
銀「…アンタ一体。」
道信さんは言った。
自分は今も昔も変わらずの人斬りで、腕っぷしだけが取り柄だった。その腕に目を付け買われた連中、それが煉獄関。
道「…あなた方は煉獄関を潰すおつもりのようだ。悪いことは言わない。やめておきなさい。幕府をも動かす連中だ。関わらぬのが身のため。」
銀「鬼の餌食になるってか?それはそれで面白そうだ…。」
璢「本当だね。血が騒ぐよ。」
そう言った私の口元は笑っていた。
道「璢、さんでしたよね?」
璢「はい。」
道「……我を忘れてはいけませんよ。」
ドクンッ
心臓が高鳴った。
道「どうやらあなたも鬼を飼っているらしい。けどそれを野放しにしてはなりません。ちゃんと首輪をつけて飼い馴らして下さい。」
璢「……どうして急に。」
道「この方は闘心が見られない。しかし気配を隠すのがお好きなようだ。」
そう言い銀兄を見る。銀兄は罰悪そうな顔をしていた。
道「それに比べてあなたは獣だ。闘心剥き出しで触れれば最後喰われる。そんな気配だ。」
璢「よくおわかりで。」
道「何人も人を殺めてきたのでこのぐらい察っせます。」
璢「………。」
道「璢さん。」
道信さんは悲しい笑顔を向けてきた。
道「あなたが獣に喰われぬよう祈っております。」
璢「……はい。」
こうして鬼道丸こと道信の調査は終わった。用事もないので私達は廃寺を後にする。
道信さんの言葉を頭の中で繰り返しながら。
これが道信さんと最後の会話になるなんて。 [ ← ] [ もどる ] [ → ] |
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