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銀「こいつァ…地下闘技場?」


そこに広がっていたのは先程見ていたリングよりもはるかに大きい場所だった。真ん中の選手が豆粒のように見える。


しかしさっきとは明らかに違う点。客の狂気の違いだ。これは異常だ。


沖「煉獄関…。」


ボソッと総悟が呟く。


沖「ここで行われているのは」


ガキィィィン


鉄が交じり合う音がする。


沖「正真正銘の」


ゴプッ


片方の選手が血を出して倒れた。


沖「殺し合いでさァ。」


「勝者鬼道丸!」


鬼の面に金棒を持った相手の名前だろうか。そいつは微動だにしなかった。


新「こんな事が…。」


銀「賭け試合か…。」


沖「こんな時代だ。侍は稼ぎ口を探すのも容易じゃねェ。命知らずの浪人どもが金ほしさに斬り合いを演じるわけでさァ。


真剣での斬り合いなんざそう拝めるもんじゃねェ。そこに賭けまで絡むときちゃあそりゃみんな飛びつきますぜ。」


銀「趣味のいい見せ物だなオイ。」


隣でフルフル震えていた神楽は突然総悟の胸倉を掴んだ。


神「胸クソ悪いモン見せやがって寝れなくなったらどーするつもりだコノヤロー!」


いつも突っ掛かる総悟は今日は大人しかった。


璢「明らかに違法だよね。役人が放って置いていいの?」


沖「役人だからこそ手が出せねェ。ここで動く金は莫大だ。残念ながら人間の欲ってのは権力の大きさに比例するもんでさァ。」


銀「幕府も絡んでるっていうのかよ。」


璢「ヘタに動けば真撰組もやられるってことか。」


沖「へィ。これだから組織ってのは面倒でいけねェ。自由なアンタらがうらやましーや。」


銀「……………。言っとくがな、俺ァてめーらのために働くなんざ御免だぜ。」


璢「私もあんたらのために動きたくない。」


沖「おかしーな。アンタらは俺と同種だと思ってやしたぜ。こういうモンは虫酸が走るほど嫌いなタチだと…。」


当たり前だ、こんなもの。


沖「アレを見て下せェ。」


そう指差したところには鬼の面に金棒をもった奴。


沖「煉獄関最強の闘士、鬼道丸…。今まで何人もの挑戦者をあの金棒で潰してきた無敵の帝王でさァ。」


たしかに金棒には拭ってもとれきれなかった血があちこちについていた。


沖「まずは奴をさぐりァ何か出てくるかもしれませんぜ。」


銀「オイ。」


沖「心配いりませんよ。こいつァ俺の個人的な頼みで真撰組は関わっちゃいねー。ここの所在は俺しか知らねーんでさァ。」


だから、と言葉を続ける。


沖「どーかこのことは近藤さんや土方さんには内密に…。」


人差し指を口に当て、彼は去っていった。
 
 
 
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