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ある街の建物の前。数少ないが人々が行き来する。
『この顔にピン!!ときたら110番』
そんな看板の前に派手な着物を着て笠を深く被る男が立っていた。
男はキセルを吸おうと管を出したときだった。
桂「どうやら失敗したよーだな。」
晋「!」
男の後ろには攘夷派桂小太郎が立っていた。
晋「思わぬ邪魔が入ってな。
…………。牙なんぞとうに失くしたと思っていたが、とんだ誤算だったぜ。」
男は顎に手をあてニヒル顔で言う。
桂「何かを護るためなら人は誰でも牙をむこうというもの。
護るものも何もない。お前はただの獣だ…高杉。」
晋「護るものもねェ…。手に入れたいものならあるがな。」
桂「それは美菅原璢のことか?」
晋「ほぅ。よく知ってんな。」
桂「当たり前だ。貴様らの仲は皆よく知っている。」
晋「よく知っている?馬鹿言うな。俺らの仲は他の奴らにはわからねー。一生な。」
いつもとは違う目を桂に向ける高杉。
桂「また璢を鬼兵隊に入れるつもりか?」
晋「俺は欲しいものはどんな汚い手を使ってでも手に入れる主義でな。」
桂「高杉…。貴様は闇の中の獣に成り下がったか。」
晋「獣でけっこう。俺が護るものは、欲しいものはアイツだけで他は必要ない。」
高杉は桂に背を向け歩き出した。
晋「全て壊すだけさ。獣の呻きが止むまでな。」
桂「………。」
果たしてこの獣の呻き、一体誰が止められるか。
あの攘夷戦争で活躍した英雄の白夜叉、坂田銀時か。
もしくは同じく英雄の胡蝶楽であり高杉と恋仲であった美菅原璢か。
桂はその場をあとにした。 [ ← ] [ もどる ] [ → ] |
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