023
( 5 / 6 ) 璢「〜〜〜〜〜ッ!!」
あまりの頭の痛さに起きてしまった。
顔をあげるとまだあちらの方で戦いが続いているらしい。雄叫びが聞こえた。
璢「あんま眠ってないんだ…。」
ふと意識が途切れる前の晋兄の姿を思い出す。
あの背中、今までいくとどなく見てきた。懐かしい、というか思い出したくもない光景。
璢「うっ…!!」
急に涙が零れてきた。涙は頬を濡らしていく。
晋「鬼兵隊に戻って来い。副総監さんよォ。」
晋兄。あなたは一体、何がしたいの?私を呼び戻してもいいことないのに。
私はぐっと涙を拭った。
今は前を
璢「前を見て歩かなきゃ…!」
横に置いている愛刀舞蝶を持ち騒ぎの中を駆け付けた。
――――――………
璢「っ、はぁ、はぁ。」
私が着いた時にはもうロボットとの戦闘は既に終わっていた。
そう、全てが終わっていた。
土「美菅原ァ!!」
璢「!」
こちらにドカドカと歩いてくる人、鬼の副長。
土「お前は一体どこに」
銀「璢ィィ!!」
土方さんの言葉を遮ってやってきた銀兄。
璢「ぎ、に。」
気づいた時には抱きしめられていた。
銀「すまねェ。俺がちゃんと見てれば…。すまねェ…!!」
璢「ぎ、銀兄のせいじゃないよ…。もう止められなかったんだ。」
周りにいる人達は何の話かわからない。しかしとても重要だということはわかるらしい。何も言わなかった。
璢「止められなかった、何もしてあげられなかった。わ、私は無力だ。」
私が銀兄の背中に手を回し力を入れた。ぎゅっ、と更に力が強くなる私の後ろにある腕。
銀「無力じゃねー。お前は立派な奴だ。あいつの獣を無意識に抑えてたお前は凄い。
泣け。我慢すんな。」
璢「う、うあああああ!!」
その言葉が合図となり私は泣き叫んだ。
璢「どーしてよ!!どうして晋兄はあんなになったの!?昔の晋兄はどこいったのよォ!!
うわあああああん!!」
暑苦しい季節、夜空の下で私は久々に泣いた。涙は決して枯れることはなくただひたすら私の頬を濡らしていく。
私が泣き止むまで銀兄はずっと力強く抱きしめててくれた。 [ ← ] [ もどる ] [ → ] |
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