019
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辰「決めた。わしゃ宙にいくぜよ。」
璢「宙って、あそこ?」
昔、辰馬兄と銀兄と屋根にのぼって話を聞いたな。
辰「そうじゃ。このまま地べたはいずり回って天人と戦ったところで先は見えちょる。 わしらがこうしよる間にも天人はじゃんじゃん地球に来ちょるきに。 押しよせる時代の波にはさからえんぜよ。」
璢「うん…。」
辰「こんな戦はいたずらに仲間を死ににいかせるだけじゃ。わしゃもう仲間が死ぬとこは見たくない。」
璢「私もだよ。仲間が死ぬのはもう嫌だ。嫌だよぅ。」
頭に大きな手が乗る。横を見たら辰馬兄のものだとわかった。なんだか妙に安心させてくれる、そんな撫で方だった。
辰「これからはもっと高い視点をもって生きねばダメじゃ。 そう。地球人も天人も、いや星さえも見わたせる高い視点がのー。 だからわしゃ宙にいく。 宇宙にデカい船浮かべて星ごとすくいあげる漁をするんじゃ。」
そう話す辰馬兄の横顔は誰よりも美しく、輝いていた。
辰「どうじゃ璢?おんしゃをここに留めとくのはえれー勿体ないぜよ。」
璢「ありがとう辰馬兄。少し考えてみるね。」
辰「おう!銀時もどうじゃ?おんしゃこの狭か星にとじこめておくには勿体ないデカか男じゃけー、わしと一緒に…」
銀「ぐー、ぐー。」
辰「アッハッハッハッハッハッー、天よォ!!コイツに隕石ば叩き落してくださーい!!アッハッハッハッ!!」
そうか。こんな時代もあったなァ。 019
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