016
( 4 / 4 ) ――――――......
銀「なあ、璢。」
璢「ハッ、ハッ。何?」
素振りをしている時、銀兄は話し掛けてきた。
今起きたのだろう。寝癖?が半端ない。と言ってもお昼だが。
銀「お前って、なんのために剣振ってんだ?」
璢「ハァ、ハァ。」
素振りを止め、縁側に座っている銀兄の隣に座った。
璢「私さ、父さんに拾われてすごい幸せだよ。」
銀「おぅ。」
璢「拾われた時にさ、何のために剣をとるって聞かれてた。初めはこの人の笑顔を護るためにって思った。」
銀「おぅ。」
璢「だけどここ来て銀兄や小太兄、晋兄達と出会って護りたいものがまた増えていった。」
銀「おぅ…。」
璢「父さんが私を養子にしてくれたことで『家族愛』を教えてくれた。私はそう思う。」
銀「あぁ。」
璢「私はこれからできるだろう、護りたいものを必死に護って生きていきたい。だからそのために剣を振るう。」
銀「そ、かァ。家族、か。」
璢「?」
銀「……家族でも恋はできるか?」
璢「恋、かァ。私よくわからないからなぁ。」
銀「そうか…っっ!!」
銀兄は勢いよく立ち上がりそして言った。
銀「じゃあ俺も家族のためにいっちょ頑張ろうかな。」
璢「……うん!!お互い頑張ろう!!」
恋。
そんなのこの頃の私にとっては無縁に近い存在だった。
その頃はね。 [ ← ] [ もどる ] [ → ] |
|