016
( 3 / 4 ) 璢「う、わあ!!」
あるところ、そこは塾から少し離れた場所にある。星がよく見えるところ。
今日は何故か一段と星の輝きが違う。まるで星の川が空にあるみたいだ。
璢「し、晋兄晋兄!!これいつもと違うよ!!」
ぴょんぴょん、興奮している私は飛び跳ねる。
晋「お前、天の川知らねェのか?」
璢「天の川?なにそれ?」
晋「クククッ。今時そんな奴もいたんだなァ。」
ドサッとその場に座り込む。私も晋兄の隣に座る。そして空を見上げる。
晋「あそこにはなァ、織り姫と彦星っつー奴らがいてな。この7月7日の時だけ会うことができる。あの天の川を渡ってな。」
璢「ふふふっ。なーんかロマンチックだね。」
キラキラと天の川は先程よりも輝いている気がした。
璢「織り姫と彦星、会えたかなァ。」
晋「さァな。」
璢「会えたらいいな。」
晋「あぁ。」
人肌が恋しくなった私はきゅぅっ、と隣にいる晋兄の手を握る。晋兄はそれに答えるように手を絡ましてくれる。
手が絡んでくるとは思わず引っ込めそうになったが、それを許してくれない。
自分から絡ませといてなんだが恥ずかしくなってきた。きっと今の顔は真っ赤だ。
晋「なんだァ?今日はえれェ積極的じゃねーの。」
璢「ちちちち違う!!」
晋「なにが違うんだァ?」
繋いだ手を上げられ目の前に持ってこられる。しっかり手を握っている私と晋兄の手があった。
璢「や、その、えっと。」
と、その時だった。
チュッ
リップ音が鳴る。頬に感触が残っていた。
晋「今日はこれぐらいにしといてやるよ。」
ニヤッ、とニヒル顔で言われた。
男慣れしていない私は当然恥ずかしいわけで。きっと顔は真っ赤。
璢「か、帰る!!」
晋「んだよ。年に一度の天の川だぜェ?」
璢「〜〜〜〜〜〜。」
晋兄は知っている。私が季節限定に弱いのを。
璢「も、少し、見る。」
晋「ククッ。」
結局はあなたの思い通り。 [ ← ] [ もどる ] [ → ] |
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