( 1/2 ) いつもわたしの前を有意義に立っているあいつ。 その背中が後ろ姿が大好きだった。本当に、好きだった。 自分の後ろにあるものを必死に護ろうとするその姿はどんな人間よりも美しく輝いていた。 そんなところが好きだった。嘘じゃないよ。 今までの好きという気持ちに偽りはない。 「......じゃあ、なんで、別れるとか、言うんでィ。」 しんみりとした部屋に響く、トーンが低い声。わたしは顔が上げられなくて下を向いたままあいつに話す。 「もう、嫌なんだ。」 「......。」 「疲れた、てか飽きた?よくわからないけどもう総悟の側にいられないことはわかったよ。」 乾いた笑い声を上げる。あいつを一瞬だけ見たら眉間に皺が寄っていた。 「だからもう終わり!さよならはできないけど関係はさよなら、しよ?」 「......凛華、がそう言うなら。」 「そ、じゃあ決定ね。」 じゃね、と結構明るい声であいつに言いその場を立ち去った。 障子を開け縁側に出る。自分の足を無理矢理動かして縁側の端っこまできたら、足が急に崩れた。 その場で声を殺すようにうずくまる。 「ごめ、ごめん、総悟...っ。」 全てはね、わたしの弱さのせいなの。 最近総悟さ、怪我すること多くなったよね。幸い軽い怪我ばっかだったらしいじゃん。一歩間違えれば大怪我だよ。 その後ね土方さんから聞いた。無意識にわたしを庇っていたらしいじゃん。余計なお世話だよ。 日に日にあなたは怪我することが多くなって、あぁもう耐えられない、て感じた。 だから全て捨てた。そしたら庇う理由も必要性もなくなるでしょう? これ以上大好きな総悟に怪我してほしくないから、だからわたしは悪役を演じた。まるで悪女みたいに。 わたしはあいつの彼女から道化師に移り変わったの。 そんな綺麗事、いらないか。 ともかく総悟には謝っても謝りきれないことしちゃった。本当にごめんね。 全てはわたしが弱いせいなの。 |