お風呂に入って少しすっきりした。ミニタオルで髪を拭きソファに座る。


そこに置いてあった携帯がピコピコと光を点滅させていた。無意識に手が伸びる。


「う、わ。」


そこにはトシと表示されたメールが一件。留守電もう聞いたのかな早くない?というか絶対怒ってるよね確実に眉間に皺寄せてるよねやばいよね。


指を操作してメールを開くとそこには「家から出るな」とだけしか書いていなかった。


「意味わかんない...。」


今なら反抗期の子供の気持ちがわかる気がする。妙に反発してみたかった。


外は寒いので上着を羽織って玄関に向かう。そして開けようとしたその瞬間、


ガチャッ


玄関のドアが勝手に開いた。そこには寒そうに鼻を真っ赤にしたトシトナカイさんがいた。


「ト、トシじゃん...。」


「......。」


無理矢理玄関まで押し入り眉間に皺を寄せたトシはわたしの頬を冷たい手で掴んだ。


「お前、メール見たか?」


「見ましゅた。」


頬を掴まれているせいかうまく喋れない。


「家から出るなっつったのに、なんで上着着て玄関にいるんだ?」


「や、しょれはれすね、あいしゅを買いに行こうきゃと。」


「アイスだァ?馬鹿か。」


ぐっと頬を掴む手が更に強まる。ちょ、お兄さん痛いわ痛いわ。


「もう夜遅いんだ。誰かに襲われたらどうすんだアホ。」


頬から手をどかし頭を一撫でする。


「......そいうえばトシ仕事は?」


「後輩がやってくれてる。」


「え?どうして急に?いつも押し付けてくるのに。」


「たまには息抜きして来いだと。ったく誰のせいで息詰まってると思ってんだか。」


「こ、後輩、なんていいやつなんだ。」


はあぁ、といいながらトシはジャケットを脱ぎネクタイを緩める。だいぶお疲れのようだ。


「......寝る?」


「寝ねーよ。」


そう言って手に持っていた鞄の中から小さな箱を取り出した。


「?なにそれ?」


「凛華、あー、その、だな、」


「?」


トシは顔を真っ赤にしてぶっきらぼうにそれを渡してきた。


「メリークリスマス。」


今までの文句や不満や寂しさやそのたもろもろが一気に吹っ飛んだ瞬間だった。







めりーくりすます







「わ、悪かったな、最近仕事ばっかで会えなくて。」

「もう、トシの馬鹿アホおたんこナス瞳孔馬鹿仕事馬鹿。」

「......おーい、殴られてーのかてめーは。」

「でも、そんなトシだから、」

ちゅっ

「好きになったんだ!へへっ。」

「......ばーか。」

キラッ、とふたりの胸元にあるそれは嬉しそうに光った。



 
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