タッタッタッ


?足音が聞こえる。それになんか私浮いてる気がする。


ふわっ


香水とタバコの匂いがする。嫌な感じの匂いじゃないな。なんかミスマッチしてる。あ、こっちから匂いがするな。


「……なんだお前。」


え?


声がはっきり聞こえた。私は重たい瞼を無理矢理こじ開ける。


まだ視界はぼやけていて誰だかよくわからない。


「………。」


だんだん視界が晴れる。


「……あれ、高杉くんじゃん。」


「俺以外に誰に見えんだよ。」


「いや、さっき視界ぼやけてた時は〇太郎に見えた。」


「てめェ落とすぞ。」


「……落とす?」


私は今の状況を確認してみる。


今自分は足が地に着いていない。そして何故か横になっている。しかも腿と腰ら辺に手の感触がある。


「まじで……?」


そう、私は高杉くんにお姫様抱っこをされていた。


「待て待て待て待て。一旦降ろしましょう高杉くん。」


「晋助。」


「知ってる、君の名前は知ってるから早く降ろ」


「晋助。」


「いや、だから名前は知っ」


「晋助。」


「……晋助、私を降ろしてください。」


「やだ。」


「結局かよ!!我が儘坊ちゃんか!!」


「うるせェ奴だな、もうちょっと待てよ。」


「もうちょっと、てどれくら」


その時、


ちゅっ


一瞬思考が停止した。いや今も停止中か。てか何が起こった?私の唇が熱い気が……。


「!!!??」


「黙っとけ。」


高杉く、晋助は平然とした顔で廊下を歩いていく。私はもう黙って晋助の顔を見つめていた。


ガラッ


どうやら目的地についたらしい。そこは「保健室」と書かれていた。


え、保健室?


「待て待て晋助。まだ早いぞコノヤロー。」


「誰がお前なんかに欲情するか。」


「うわそれひど。凛華ちゃん今めちゃくちゃ傷付いた。」


「うっせー。」


晋助は私をベッドに降ろし顔を近づけた。


「っん……。」


また唇が合わさる。今度はさっきよりも長い。


なんだか晋助とキスをもっとしたいと思う私は変態?なんか嫌な感じはしないの。


だから彼を受け入れる。


「はぁ。キ、キス魔が。」


「誰がキス魔だ。」


「晋助=キス魔。」


「黙れ、いいから寝てろ。」


「……もう眠たくないよ。起きちゃった。」


「チッ。」


あ、もしかして、


「……晋助。」


「あ゛?」


「ありがとう、気遣ってくれて。」


「……別に。」


そう言ってそっぽを向いた。
 
 
 
 
 
 
 
無口な彼に惹かれて
 
 
 
 
 
 
 
「……おい凛華。」

「なに?」

「鬼からの命令。」

「あ……。私晋助に捕まったんだ。」

「今頃かよ。」

「今頃。……優しいのにしてよ?」

「ククッ。厳しいかもな。」

「えー?何々?」

俺について来い。

「……ふふ、確かに厳しいね。」

けど、

「この気持ちに素直にならないとね。」

「ほぅ?」

「但しただではあげないよ。」

いっぱい、いっぱい愛してくれないと首輪契って脱走しちゃうから。

 
 
 
 もどる  
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -