「………ろ。」


「?」


なんか、声がする。


「お………ろ。」


おろ?吐きたいのかな?大丈夫ぅ?


「う………ん……こ。」


う、うんこだと!?ここで漏らす前に早く行ってこいよ。


「誰が行くかァァァァ!!」


バチコーン


「いたぁぁぁ!?」


頭が、頭が割れる!!脳みそさんこんにちわになるだろうがァァァ!!


「何してくれてんの!?……て、トシ?」


そこには同行開き気味の可哀相な、


「誰が可哀相だゴラ。」


「え、まさかのエスパー?トシやばくない?」


「全部声に出てんだよ!!」


「ま、まさかの失態……!!」


「何が失態だ。失態っつーよりも可哀相な奴だよ。」


「違うよ、可哀相な奴はトシだよ。身体的にも精神的にも。」


「上等だゴラァァァ!!」


その時ふと気づいた。私に学ランが掛けられてる。


「………これ、トシ?」


学ランを持ち上げ問う。トシは顔をそっぽ向けて答えた。


「んなとこで寝てたら風邪引くだろーが。」


「………ふふ。」


素直じゃないなー。


「ありがとう。不器用な優しさ受け取っとくわ。」


「不器用、てお前なァ。」


「だってそうじゃん。トシはいつもそうだよ。」


「じゃーそうなのかもなァ。」


暫しの沈黙。嫌な気持ちはしなかった。寧ろ心地好くて暖かくていい感じ。


「ここじゃ風邪引くし、グラウンド行くぞ。」


「え、私まだ捕まってないよ?」


「お前、この状況でも言えるのかよ。」


「?」


はぁ、とトシは溜息をつき、そして


ぎゅっ


「!」


手を握ってきた。


「俺がお前を捕まえたんだっつーの。」


そう言ったトシの顔は今まで見たことない笑顔で満ち溢れていた。
 
 
 
 
 
 
 
不器用な優しさを
 
 
 
 
 
 
 
「トシ!ねぇ、トシ!!」

「あ?んだよ。」

「め、命令はいいの?」

「……また後で考えとくわ。」

「いいい意地悪な命令はダメだからね!!」

「どうかなァ。」

「ちょ、まじでやめてェ!!」

ほんのり甘い恋はこれからが本番。



 
 もどる 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -