「俺がやる。」 こう言われたのは数秒前。 なぜこのようなことを言われたのかというとある理由があるからである。 高校3年生の私は最近帰り道誰かに付き纏われている気がするのだ。 歩いていて人気のない場所を通らないと帰れない家に住んでいる私がそこを通ると後ろから人の気配があるのがわかった。 私の勘違いで終わればいいのだがそれが勘違いなどではなかった。 私はある日はっきり見てしまった、付き纏ってくる人物を。相手は気づいていないらしい。 それで友達にそのストーカーをどうやって追い払おうか昼休憩中庭で相談に乗ってもらっていた。 「彼氏作っちゃいなよ彼氏。」 「そうそう!で諦めてもらおう!!」 「えー、警察は?」 「徹底的な証拠がないじゃん。」 確かに友達が言うことは一理あった。 「け、けどそんな急に彼氏はできないよー。」 「大丈夫だよ、凛華は可愛いもの。」 「いやいやいや。」 「本当は私らがついていきたいけどね、女は役に立たないからな…。」 「そんなことないのに・・・。」 「でもさ、できれば男の子がいいよねー。」 「で、でもでも、ストーカー被害に困ってるから付き合って下さいなんて物好きは…。」 と、その時 「俺がやる。」 私が座っているところに影ができた。確認するために後ろを振り向くと、 「あ、」 「総悟じゃーん!!」 「なになにしてくれんの?」 そこにいたのは私の学校でイケメン衆の中でも甘いマスクとして有名な沖田総悟くんだった。 総悟くんとは話したことがない、クラスも別、そもそも関わりがない。私は総悟くんはイケメンで有名だから知っているけど、逆に総悟くんは私のことなど知らないぐらい面識がない。 その総悟くんと友達はフリーズしている私を余所に話をさっさと進めている。 ばちっ 目が合った。シャイな私はすぐそらすのが癖となっているだがなぜかこの時はそらすことができなかった。 段々顔が熱くなる。だけど私も彼も目をそらすことはなかった。 「じゃあ総悟、凛華のことよろしく頼むね。」 友達の声で我に返りやっと視線をそらすことができた。 「了解しやした。」 「頼りにしてるからねェ。」 「俺を誰だと思ってんでィ。」 「・・・・・・え?」 「凛華、これからは総悟くんに送り迎えしてもらいなさい。」 勝手に話を進めた友達は「これで一安心だ」と笑い話しながら手元にある食べかけの弁当を食べる。 「そ、そんな…。」 これじゃあ総悟くんにものすごく迷惑を掛けてしまう。 「姫路野。」 低い声に反応した私の体はそちらの方向にむく。 「よろしくお願いしやす。」 ニコリと効果音がつきそうな甘いマスクでそう挨拶をされた時、なぜか私の体は熱く火照っていた。 この恋を止められない 自分のこの反応知ってる。よく知っている。 これは「恋」というやつだ。 私はこの一瞬であなたに恋をした。 みんなはこれを「一目惚れ」という。 お題:確かに恋だった様 |