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ある国のある都市のある日。


その日はいつもより辺りが静かで足音ひとつでも立てやしたら気づく程だ。


ある国のある都市。そこはネオンの街と言われてもおかしくない程光り輝いている街。


光り輝いている、といえば勿論大人の遊びが多い。ギャンブルがほとんどでよく高そうな品物を体中ぶら下げた奴らがあちこちをさ迷う。


しかし今夜は少し事情が違うらしい。いつも光り輝いて騒がしい街は今日はやけに静かである。


おまけにギャンブル目的ではない人達で溢れ返っていた。彼等は皆、統一された制服を着ている。


そんな街にひとつの影があった。


「………ったく、警戒しすぎだっての。」


彼はある建物に目をつけ、うまく体を闇に溶かす。そして物音一つ立てずにその建物に入った。


「………。」


建物に入り彼は辺りを見回す。するとあるひとつのモノに目をつけた。


「あれか……。」


ニヤリ、と口角が上がる。


彼は忍び足でモノがある部屋に近付くがドアノブを触る手前で動作を止める。


「厄介だなこりゃァ。」


ゴソゴソとポケットから出した物は携帯工具と真っ黒の手袋。


「……よし。」


準備が完了したところで作業に取り掛かる。


普通の人は暗号みたいでよくわからない構図になっているがこんなに慣れた彼にとっては朝飯前であった。


カチャッ


「いっちょあがりー。」


ルンルン気分で部屋のドアを開ける。


そして今度は鞄からあるものを取り出す。


「そう簡単には引っ掛からないってーの。」


赤外線ゴーグル。それを装着すると部屋に張られた無数の赤外線が彼の目に映し出される。


それをうまい具合に避け、


「こんにちわ、お宝ちゃん♪」


部屋の真ん中にある本日お目当ての品物を手に取る。


それは綺麗なエメラルドグリーン色をした猫型の宝石だ。どうやら世界にひとつしかない超特注品らしい。


「ごっそーさん。」


彼は来た道を器用にくぐり抜け、証拠も残さずその場から消え去った。
 
 
 
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