( 2/2 ) ウーッ ウーッ
深夜にも関わらず騒音を撒き散らす車が数台。それらには全て共通の赤いランプがつけられていた。
車はあるひとつの家の前に止まりそして周りを黄色いテープで囲っていく。
ガチャッ
車のドアが開く。
「……ココか?例の場所は。」
「そのようですねィ。」
車、通称パトカーから出てきたのはポリス。警部補佐を勤める土方十四郎と1番巡査部長の沖田総悟である。
「しかしまあ、大層な家を選びましたねィ。奴も。」
「あぁ。ったく厄介なヤローだよ。」
そう言って胸ポケットからタバコを取り出し火をつけた。
「ひとまず現場を見るか。」
「そうしやしょう。」
二人は今回の現場となった「大層な家」の中へと入って行った。
中は一目でわかるぐらい豪華だった。廊下は大理石、壁は何やらキラキラと光っている。きっと最近流行りの金を混ぜた壁だろう。
奥へ進むと今回の現場に辿り着く。
「警部補佐の土方だ。」
警察手帳をそこらの奴に見せる。
「現在わかっていることは?」
「あ、はい。現在確認されていることは、やはり奴の仕業ということだけでして......。」 「………やっぱりねィ。」
沖田は先にわかっていたらしく深いため息をついた。
「証拠はねーのか?」
「はい、残念ながらひとつも。ただ悪ふざけで残した証拠なら。」
そう言ってそいつはビニールに入ったものを渡してきた。
そこにはこう書かれていた。
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家の主へ
こんばんは、銀の猫だ。
今回の標的はお前の家にある、あの猫型の宝石。気に入ってしまったからな。
あ、先に言っとくけど、どんな対策をしようがたくさんの人を呼ぼうが阻止はできないぜ。
観念するんだな。
P.S.ポリスヤロー、俺は捕まえられねーぞ。
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「………。こりゃあまあ大胆な挑発でィ。」
「ヤロゥ…ッッ!!ぜってぇ捕まえてやるよ!!銀の猫ォォ!!」
「土方さんそれ破らねーでくだせェよ、唯一の証拠なんでィ。」
「わかってらァ。」
土方はそれをそいつに返した。
「おい、てめー。」
「はい。」
「それ返しとけ。」
「はい、わかりました。」
彼は口角を上げ、
「ポリスヤロー。」
現場の奥深くへと消えて行った。 それの気配に気づかない二人は、また意味もないと知りながらも調査を開始する。 闇に溶け込む猫 数々の窃盗を繰り返し宝石を盗む、史上最悪な怪盗銀の猫。
決して闇に溶け込むはずのない色をした、奴の姿を目にした者は未だにいない。 ← もどる
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