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「はいはい騒がなーい。」


今度はわたしが口元を塞ぐ。その間に銀ちゃんは柳江が持っていた無線を取り上げた。


「あー、あー、こちら銀の猫。聞こえるか?」


ザザッ


『銀の猫だと!?柳江はどうした!?』


「あんらー、その声もしかして土方警部補佐?柳江ちゃんなら元気だぞー。」


「んぐっ!に、にいさっ!」


「はいはい、騒がない。使用人に気づかれるでしょ。」


「っ!」


使用人、という言葉に反応して彼女は押し黙った。きっと誰のことかわかったのだろう。


『......柳江は無事だろーな。』


「銀の猫は攻撃されない限りしない。安全は保証すらァ。」


『信用できねーがな。』


「信用すんのもしねーのもお前次第だ。」


『......で、何が目的だ?』


「さすが土方警部補佐!話が早くて助かるわ。」


『早く言え。』


「ったく、せっかちな野郎だな。」


『あぁ!!!?』


「ちょっと喧嘩してる場合じゃないでしょ!!?」


もう、と文句を言い銀ちゃんから無線機を取り上げる。何か言いたげな顔をしていたが睨みで黙らせる。


「今回、私たちは総理の化けの皮を剥ごうと思うの。」


『やっぱりあいつは黒か...。』


「そのためには私たちの力だけではなく、極秘任務を遂行している彼女が必要になるわ。」


『柳江が!?』


「そう、柳江ちゃんが必要なの。」


『ふざけるな!!!誰がお前らなんかに!!!』


「美味しい話だと思わない?総理の裏金の在処や極秘研究の内容がわかり逮捕まで繋げれる。私たちは彼を潰したい、それだけ。お互い遂行したい任務は同じだけど?」


『裏金の在処や極秘研究の内容!?』


「それは彼から直接聞きなさーい。とにかくわたしはこの子を借りたいんだけど、」


ちらりと柳江を見ると罰悪そうな顔。私たちに協力して総理を逮捕するかこのままひとりで捜査を続けるのか悩んでいるのだろう。


と、そのときだった。


「面白そうな話してやすねィ。」


コツコツと足音を鳴らしながらこちらに近づいてきたのは土方警部補佐といつもいた、


「沖田、巡査部長...。」


「総悟って呼べっつったろ、柳江。」


にやりと怪しげな笑みを浮かべながら近づいてくる。邪魔しに来たのだろうか。


「なに捕まってんでィ、馬鹿。」


「......余計なお世話よ。」


「ま、いいや。」


そう言って彼はわたしから無線機を奪い取り口元に近づけた。そしてゆっくりと口を開く。


「おーい、聞こえやすか。」


『総悟!?その声総悟か!?』


「土方さん、これ面白そうなんでやりやす。」


『はっ!?ちょ、』


「柳江のことは心配しねェでくだせー。これからも。」


『はっ!?てめそれどういう意ブチッ


「「「......。」」」


沖田は無線機を無断で切り、そして粉々に踏み潰した。


「っつーわけで柳江から離れてくれやす、銀の猫?」


「あらら、お熱かよ。そりゃあ悪ィな。」


両手を上げ降参のポーズをする。柳江は沖田に引っ張られ抱き締められていた。目線に困るわたしはとりあえずうつ向いていた。


「ちょ、おき...っ!!!」


「さあて、」


柳江の口を塞ぎ沖田は話を続ける。


「約束したモンは仕方ねェ。俺たちは何をしたらいんでさァ。」


沖田と銀ちゃんの目線が合う。ふたりはニタリと弧を描き笑った。殺気じみているが。


「......話が早いなー、君たちは。」


「土方コノヤローと一緒にしねェでくだせェ。」


そう言って銀ちゃんはふたりにあるひとつの物を渡した。


「なんでィコレ。」


「なにって盗聴機だけど...。」


「......銀の猫、悪ィが俺らは警察。犯罪を取り締まる奴が犯罪を犯す行為はできやせん。」


「知ってる。これ、さっきの会話とかが入ってるやつだから。」


「さっきって...、あの怪しい!?」


柳江が沖田から離れ顔をあげた。沖田は何故か悔しそうだった。


「うん、あげるよ。協力のお礼にね。あ、あとは。」


そしてもうひとつの黒いやつとマイクを渡した。彼らは不思議な顔でそれを持ち見つめる。


「なんでマイク?」


「あ、このマイク、特殊なやつだから。」


「......特殊って?」


「いずれわかるよ。」


カチカチと機械をいじり準備を整えていく。そして携帯を開きある画面を開いてみんなに見せた。


「それでは、作戦を説明します。」


 
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