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作戦実行の夜。


その日はいつもより日が沈んでいて闇が深かった。作戦実行日和だ。


『……ちゃん、銀ちゃん。』


耳にはめてる無線機器から声が聞こえる。


凛華の声だ。


『銀ちゃん、聞こえる?』


「はいはい。いつもの通り聞こえてるよ。」


『そう、なら大丈夫ね。つか「はい」はひとつでいい。』


「はーい。」


『……勲章消すよ?』


「ごめんなさいやりすぎました調子乗りすぎましただから勲章消さないでェェ!!」


『ま、許してあげるわ。』


こいつは怒らせると怖い。


物理的に怖いのではなく精神的に怖い。なんか弱みを握られてるようなそんな感じ。


けど苦手なやつじゃない。


つか苦手なやつだったら一緒に住んでねーし。


「で、ここの通路をどういう風に行けば辿り着くんだ?」


『あ、あぁ、うん。そこを右に曲がって突き当たりまで歩くんだけど。』


スタスタスタ


暗闇の中を無防備で歩く俺。


……なんかかっこよくね?


『で、そこを左に曲がったら赤外線レーダーがあるわ。』


「りょーかい。」


言われたところに着き、あの愛着あるメガネをかける。


『それから、……』


この調子じゃあ、今回の盗みも成功だな。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
―――――――………
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
銀の猫再び現る!次は××邸宅!


広げた新聞のトップにデカデカと載っているこの字。


顔がニヤけてる?嘘だろ。


まあとにかく、昨日の盗みも言わなくてもわかるが成功した。余裕余裕。


そして昨日盗んだ「世界一大きなダイヤモンド」は俺の目の前に転がっている。


改めて俺がしたのだと思い知らされる。


「銀ちゃーん、朝ごはん出来たよォ。」


……いや、俺達ふたりがしたんだったな。
 
 
 
 
 
 
 
俺と私でひとり
 
 
 
 
 
 
 
きっと俺ひとりだったらあんな凝った作戦も的確なアドバイスもできないだろう。

また、コイツはあんな身体力を試される盗みも緊張感を保つことができないだろう。

俺達はお互いの不足を補ってここまできたんだ。



 
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