( 1/1 ) 「で、お前は誰だ?」
ぽつん、と取調室の椅子に座る私の前に瞳孔開き気味のお兄さんが言う。
そう、私はいま取調室にいます。理由は先程あった攘夷志士の事情聴取でしょう。連行されましたからね。
だがしかし、
ただの事情聴取て素性聞かれるっけ?あ、聞かれるわ。
「さっき言ったじゃないですかァ。姫路野凛華、19歳ですって。」
「住んでる場所は?」
「瓦礫の山。」
私正直に言うタイプなの、てへ。ってそれどころじゃないか。
「瓦礫の山だァ!?」
「そうでーす。ある人のせいで瓦礫の山となってしまいましたー。」
「おいそいつどこだ!!しょっぴかねーと!!」
瞳孔開き気味のお兄さん、あなた怒りで燃えてますよ。真っ赤なオーラ全開ですよ。
「えーと、たしか、松平、てたけな?」
あのおっさん確か酔っ払って運転してたんだよなー。
※お酒を飲んだら運転しちゃだめ!
「………え?松平?」
「うん。松平、……下の名前が、ほらとろみつける時に使うあれだって、ほら、あれあれ。」
「とっつぁんで間違いねーですねィ。」
もうひとり別の声が後ろからした。振り返ってみると蜂蜜色の髪をした可愛らしい男の子が立っていた。
「本当にとっつぁんなのか総悟!?」
「間違いねー。これを見てくだせェ。」
そう言って瞳孔開き気味のお兄さんに渡したもの。
「あ、私が持ってた地図。」
お兄さんはそれを手に取り、溜息をついた。
「………こりゃあ、間違いねーわ。」
「だろィ?」
私にはわからない会話をふたりでしていた。
「で、なんかとっつぁんから伝言預かってっか?」
「おう、預かってるぜ。え、とね、あー、最近物忘れ激しいからな。あ、そうだそうだ!
真撰組ていう下宿に住まわしてもらえだって。」
「どこが下宿先だとっつぁんんんん!?」
「え!?違うの!?」
「あんた、真撰組知らねーんですかィ?」
「……なに?」
「ご時世真撰組を知らねーやつ初めて見やした。」
「……はあ、俺もだ。」
「え?なに?結局真撰組てなに?」
可愛らしい男の子は呆れた目で私を見た。
「………警察でさァ。」 世間知らずのわたし 「あ、あー。知ってたよそのぐらい知ってたさ、うん。」
「じゃあその泳ぐ目をどうにかしろ。」
「おおお泳いでなんかないよ?」
「……嘘下手だねィ。」
「黙れえいいい!!」
「(で、こいつどうしたらいんだ?)」 もどる
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