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「......ふぅ。」


布団に寝転んでこの前買ってもらった刀を大事そうに抱える。今日からこれがわたしを、あの副長を護る武器となる。そう思うとなんだかより一層重たい感じがしてつい手放す。そして再び手に取る。


シャキン、綺麗な音を出しながらそれは輝きを放ちながら出てくる。わたしは無言でそれを眺めていた。


「土方さんのその大きくて黒い背中を全力で護り抜くことを、今ここでこの刀に誓う。」


そうこの前土方さんとこの刀に誓いを立てた。


その時はただ護ろうとかそんなことは微塵にも思っていなかった。ただわたしがこの世界で一体なにをしなくちゃいけないのか、とっつぁんが何故真撰組にわたしを入れたのか、その疑問が一気に解放された瞬間だった気がする。


正直人殺しになるのは怖い。そういうのに慣れていないという理由の他にもあるが何より実感が湧かないからだ。自分はこれからこの刀で一体どれくらいの人を斬って斬って血を浴びて。


けど、あの背中を護れたならいっかな。とか思ってしまうわたしは一体誰なんだろう。


「ふぅ。」


再び溜め息をつき体を縮こませた。


ガラッ


「......姫路野。召集だ。」


障子を静かに開けて低い声を響かせたのは本能で護ると決めた人、土方さんがいた。


「はぁーい。」


よっこらせ、とかおばさんくさいことを言いながら腰を上げその黒くて大きい背中を追いかけた。


「土方さん、なんの召集ですか?」


「あ?例の攘夷志士関連だよ。」


「ああ、土方さんが言ってたあれ?」


「そうだ。」


ドスドスと足音を立てながら頭の中を整理する。確か女子供が異様に狙われる事件だった。


「出たんですか攘夷志士が。」


「山崎が密偵に行っててな。奴らの大幅のアジトがわかった。」


「......ふーん。」


山崎さん、意外と仕事しているんだ。いつもいるかいないかよくわかないからな。


「今回がお前の初めての仕事になる。」


ポンッ


大きくてゴツゴツした手がわたしの頭の上にのっかった。


「頑張れよ。」


そう言って何故か悲しそうな顔で笑った。わたしは理解ができなくて苦笑いをした。


「ってか土方さんの汚い手が!!わたしの美しいhairが汚れてしまうわ!!」


「てめェ人が珍しく優しくしてんのに...!!」


「別に優しくしろなんて言ってませーん。」


「おーしわかった。これからは鬼の如く鍛えてやるよ。」


「すんませんマジで止めてくださいまし。あなたならやりかねないから本当勘弁して下さい。」


「先に喧嘩振ってきたのはてめェだからな。」


「いいえ!!先に喧嘩売ってきたのはあんたの顔だ!!」


「んで顔限定なんだゴラァ!!?」


「......トシ。」


障子からそっと顔を出して土方さんを呼ぶ近藤さん。


「もうみんな集まってるぞ。」


「あ、あぁ悪ィ。」


障子を勢いよく開け私たちは中に入っていった。ここからはおふざけは禁止。そう空気が言っているように感じた。


 
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