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ぶおおおん、とエンジンの音が低く唸り着いた場所は目的地より少し離れた場所にある。目的地からはちょうど死角になっており屋敷から覗いてもまず見れることはないだろう。


その車からそっとおり、車の鍵を閉めたら6人で輪になりこそこそと話す。



「いいですか?作戦は各執事に伝えておきました。お嬢様方は執事の作戦を聞きながら行動してください。決してひとりで行動するようなことはしないでください。」

「わかりました。」

「俺達の目的はただひとつ。奴等を懲らしめることもあるが社長室にあるパソコンの中に姫路野家個人情報のデータが入っている。」

「それをぶっ壊し二度と襲わせないようにすることが目的だ。」

「え、それって個人のプライバシー侵害じゃ...。」

「そっちじゃなくて会社のプライバシーな。その中でこれおかしいぞチャンスだとかなんとか思ったんだろ。」

「なるほど。」

「とにかくお相手さんは俺らが問題を起こそうが表沙汰にはする気はねェだろ。調べられたら個人情報の管理についてバレる危険性があるからな。」

「とにかく社長室まで行って核のパソコンをぶっ壊せばいいんですよねィ?」

「簡単に言えばそうだ。ただ相手は容赦しないと思うぜ。」

「口封じする可能性があるな。」

「とにかく無事に帰ってこようぜ。」



銀さんは開いた手を真ん中に置く。わたしはそれに同じように乗せていく。その上に沖田さん、美兒さん、土方さん、浅井田さんとのせていく。



「よっし、いくぞ!」

「「「おー!」」」



小さく掛け声を掛け、わたし達はその場でバラバラになった。


いよいよ、始まる第一ラウンド。



「俺達は西門の方から侵入すっぞ。」

「うん。」



サッと壁などに隠れながらそっと屋敷に近づいていくわたし達。そこである疑問点が浮かんだ。



「ところで、社長室のパソコンになんでわたしの家の個人情報のデータが管理されてるのわかったの?」

「......あー、お前の知り合いでいるだろ。インターネット企業立ち上げてんの。」

「...?誰かいたっけ?」

「拓羅お嬢様。」

「あ、そういえばそうだった。ということは?」

「俺が高杉の野郎に直接お願いしたんだ、調べるようにな。そしたらビンゴだったってわけ。」

「なるほどねー。...ちなみにこのこと拓羅は気づいてるかな。」

「多分気づいてるだろうな。あのお嬢様高杉にべったりだろ。」

「......へー。」

「え?気づかなかったの?」

「...き、気付いていたよ。うん、わかってた。」

「鈍感。」

「うっさいよ!」



と、その瞬間だった。



ドカァァァァン

「え!?何事!?」



突然の大きな爆発音とウーウー鳴り響くサイレンの音。音の方を見るとそこからはモクモクと大きな煙が上がっていた。あんだけ大きな爆発音が上がったのだ。明日のニュースぐらいにはなるだろう。


いや、それよりも心配なのがある。



「誰か攻撃されたの!?」

「...凛華、逆だ。」

「え、逆?」



はあ、と溜息をつき頭をガシガシと掻き回した。銀さんは怠そうに答えた後わたしの腕を思い切り引っ張りお姫様抱っこをした。



「え、ちょ、銀さん!?」

「あちらさんが攻撃したんじゃねェ。こっちが攻撃したんだよ...っ!!」



その瞬間、ものすごいスピードでダッシュをする銀さん。周りの景色が流れるような光景と先程の言葉の理解に悩まされるのとで頭がいっぱいになる。



「ど、どういうこと!?」

「作戦のひとつに正面を少し攻撃して警備を緩くしてから入るつもりだった。」

「え、でもさっきのところ正門じゃないよね?」

「多分総一郎くんの仕業だろうな。大方バズーカで一発だろ。」

「沖田さんが!?でも作戦も違う!!」

「...まあ、こんなことは予想していた、さ!」



西門をガンと足で蹴り開け、屋敷の中に入っていく。木の茂みのところに隠れる時にそっと降ろされた。そして話を続ける。



「おいおい、面倒臭いことしてくれたなオイ。明日のニュース一面だぜありゃァ。」

「...もう後の祭りだね。」



はああ、と盛大な溜息をつき後はどうか事件が起きませんようにとふたりで祈った矢先であった。



ドカァァァァン



もう一発大きな爆発音。その時はわああと人の叫び声も一緒に聞こえた。お気の毒に。



「とにかく総一郎くんが囮になっている隙に屋敷へ侵入すっか。」

「うん、ここはポジティブに考えよう。」

「お、いいこと言うな。さすが俺の凛華。」



その言葉にボンっと頭から煙が出そうなほど、体が熱くなる。銀さんの言動一つでわたしの体温はこんなに変わってしまうのか。なんて不思議な体だ。


わたし達は隙を見て、そっと屋敷の中へ入っていった。


 
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