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「お嬢様方はこちらでお待ち下さい。」
朝食後、そう言われある一室に入れられたわたし達。何故という疑問の顔で彼らを見つめたが目が合ってもにこりとしか笑わない。非常に不気味である。
そういえば彼らは言っていた。奴らをぶっ飛ばさないと、と。奴ら....とは一体?
「凛華さん、総悟達は一体どこへ...?」
「奴らをぶっ飛ばさないととは言っていたけれど、一体どういうことか考えていたわ。」
「......あの、詳しくはお聞きしていないのですが凛華さんは一体どうしてこちらに来たのですか?」
「あぁ、それはなんか怖い奴らに負われてて...、ん?」
そういえばわたしがこの家にお邪魔する理由は私の家である出来事が起こったからだ。
それはわけのわからない団体が私の家を襲ってきたから。
「...つまり銀さんたちは、あいつらを。」
「え?え?」
いまいち理解できていない美兒さんに一から説明する。わたしがここに来た訳、そして奴らについて。
「なんて団体なのでしょう!最低です!」
地団駄を踏み悔しそうにする。そこまで思ってくれて大変ありがたく嬉しい気持ちである。
しかしその気持ちよりも遥かに大きいものがわたしを包んでいた。
「また置いていかれた......。」
今度は一緒にいるって約束したくせに、嘘つき、馬鹿。しゅんとした気持ちを少し抑え椅子から立ち上がる。
「わたし、銀さん探してくるわ。」
「え、今からですか?」
「大丈夫。出るなとは言われてないから。」
「え、え、あ、あの。」
オロオロする美兒さんに背を向けてドアを思い切り開ける。
また、置いていかれるのは嫌だ。
バンッ
「!!」
扉の目の前に人が居た。そこにいたのは装備をした銀さんと沖田さんだった。
「はい、俺の勝ちー。」
「さすが旦那でさァ。」
ケラケラと笑い勝ち負けの話をする。わたしはまさか扉の前に人がいるとは思わずびっくりしたのと何の話かよくわからないことで混乱していた。
「え?え、ええ?」
「いやー、さすが凛華だわ。」
ポンポンと頭を優しく叩かれる。嬉しい気持ちもあるが一体どういうことなのだろうか?
「賭けてたんでさァ、旦那と。お嬢様方が扉を開けるか。案の定姫路野お嬢様は開けやしたけどね。」
うちの姫は残念ながら鈍感で積極性がなく、と本人が目の前にいるにも関わらずスラスラと短所を話す沖田さんは悪魔に違いない。
しかし現役モデルが負けそうなくらいの顔でこの毒舌。これが世の中で言われているギャップというものだろうか。
「うんうん、さすが凛華。俺において置かれるのはもう嫌なんだよな。」
そうかそうか、とニマニマしながら銀さんはわたしを見る。なんだか嬉しそうに見れるのはわたしだけだろうか。
「べ、別に...。ただ銀さんが寂しいかなって思っただけだもん。」
「あー、もうなに。ツンデレ?今時流行りのツンデレ?いいよ、銀さんそういうの好きだよ。」
「なんか変態おっさんの発言になってる。」
「おっさんじゃないですゥ。お兄さんですゥ。」
「はいはい。」
とにかく、肩に手を置かれ耳元でぼそりと呟かれた。
「もう、置いていかねーよ。」
「......はい。」
さすが銀さん。なんでもお見通しで。
私の執事は知っている
「よーし、そんじゃ行くか!」
「あーあ、めんどくせぇ。」
「お、おーう。」
「怖いなぁ...。」
「......大丈夫だって / でさァ。」
「「命懸けでお前護るから。」」
「「は、はい...。」」
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