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「ど、どういうことよ。」

「どうもこうもねーよ。」

「あるに決まってるでしょ!!一体どういう意味よ!!」



わたしはベッドの上で呑気に煙菅を吸っている高杉の胸倉を掴んだ。そして揺するように問うがさっきから同じことしか言わない。


ついさっき銀さんがいないことに事を感じたわたしが高杉に聞いたところ銀さんは「自分の足で出掛けた」ということだった。高杉のことはあまり信用できないが嘘をついているようにも見えない。



「それはお前が一番よくわかってんだろ。」



高杉に言われた言葉が頭の中をグルグルと回る。そう、よくわかっているのはわたしだ。



「銀さん、もしかして......。」

「そのもしかしてだろーよ。」



高杉の胸倉を掴んでいた手を力なく落とした。あまりのショックでその場から動けなかった。相変わらず高杉は冷たい目でわたしを見下ろしている。



「父様のところに一人で行ったのね。」

「多分な。」

「多分、てどういうことよ。」

「俺は詳細を聞かされていない。ただお願いされただけだ、今日一日中お前を外に出すなと。」



吐き出される煙を横目にわたしは必死に頭を働かせた。


つまり銀さんはわたしに黙って父様のところへ行った、会社の不正行為を止めるために。


疑問はふたつ、父様は今海外へと出掛けていらっしゃる。海外まで行ったのか。行ったとしても父様以外に母様もいる。そんな中で何かができるのだろうか。


もうひとつどうしてわたしを置いていったのか。しかも仲の悪い高杉にまでお願いしてこうして見張るようなことをしたのか。



「......クククッ。」



隣から聞こえる不気味な笑い声。横目で見ると高杉が面白可笑しそうに笑っていた。



「...なにが可笑しいのよ。」

「お前、銀時が言ってた通りの女だなって思ってなァ。」

「はあ?」



必死に悩んでいるわたしを笑っていたのかと思ったがそうではなかったらしい。



「わたしの話?」

「お前以外に誰がいんだよ。......そうだなァ、俺が聞いた話を話してやろう。」



そういうと彼は指を折って話をし始めた。



「ひとつは約束事を必ず守る。今この瞬間も出ようとしなかっただろ?」

「っ!」

「ふたつ、気が強い。とにかくわからないことは追求する。」

「......恥ずかしくなってきた。」

「みっつ、危険性を全く感じていない。いや、気づかない鈍感と言った方がいいのか?」

「え?」



その瞬間、



ガシャァァァァン

「きゃあっ!!」



突然割れる窓ガラス。思わず叫び声が上がった。一応高杉が庇ってくれたおかげで怪我はしないで済んだ。しかし辺りが煙で包まれており視界が晴れない。


そんな中、目の前にいる高杉だけが目に入った。



「た、高杉!!」

「あ?」

「血、血が!」



わたしを庇ったせいか頬に一本の赤い線が出来ていた。そこから血が垂れてくる。



「んなこと気にするとは随分余裕じゃねーか、お嬢様。」

「っぎゃ!」



高杉はわたしをお姫様抱っこし急いで出口へと走り出した。なにが起こったのかわからないわたしはただただやられるだけだった。



「何が起きてるの!?というか部屋から出てよかったの!?」

「あんな状態で部屋に入れる方がすげェよ。ったく銀時も厄介なこと頼んできたな。」

「え、厄介なことって!?」

「さあな色々あるんじゃねーの。女とか。」

「それあんただけでしょ!!!」

「んなことねェよ。男はひとつふたつ女関係でゴタついてんだ。」

「だからそれはあんただけだって「ガコンッ」えぇっ!!?」



部屋にある扉という扉を足で蹴って開けていく。



「ちょっと!!!一体どこ行くの!!?」

「あぁ?ここを出るんだよ。」

「質問の答えになってない!!!」

「うるせェないちいち。お前の口、塞ぐぞ。」

「......ごめんなちゃい。」



とりあえず黙って高杉にお姫様抱っこをされることにした。



「こっちか。」



高杉はある廊下の隅に座るように隠れた。すると違うところから音がした。



ガタン バン ドカン



そっちいたか!?

いない!!もしかしたら逃げられたかも!!

いや短時間だからそう遠くには逃げていない!!探せ!!

はっ!!



バタバタバタッ



「......だそうだ。」

「誰よあの人たち。」

「だから言っただろ俺は詳細を聞いてねーんだよ。」



ちっ、と舌打ちをした後高杉は携帯を取り出し電話を掛けた。



「俺だ、お前今暇だろ?10分以内に姫路野公園に来い。面白いモン付きだ。」



すると電話越しに「仕方ねーですねィ、貸し1。」という声が聞こえて切れた。



「ちっ、余計な奴に貸し作った。」

「ね、ねぇ。今の誰よ。」

「あぁ?学校の時の後輩だ。」



そう言うと高杉は再びわたしを抱き直し、走り出した。わたしはただ高杉にしがみついていることしかできなかった。



「銀さん、一体どういうこと?」



問い出してみても謎は深まるばかり。







私の執事に問う



『...面白いモン付きだ。』

「仕方ねーですねィ、貸し1。」

『っち。』

ピッ ツーツー

「......面白いモン、ねィ。楽しみでさァ。」



 
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